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2022.06.22
教えて!専門家の皆さん!!「食べ物に関わる職業だからこそ大切にしたい歯のケア」
ケイズ歯科医院
田中医院長(左)、歯科衛生士の成瀬さん(右)
当院は患者さんに安心して治療をうけていただきたいとの想いから、2017年の開院当初から感染対策を徹底していました。コロナ対策と言われる様な清拭、消毒、滅菌はその前から当然の様に行なっていたことです。また、痛みが出てからの治療ではなく、予防に力を入れ、「10年後の健康な口」を目指し、痛みがなくても通っていただける歯科を目指しています。
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毎日朝から晩まで働いている職人の皆さん。体を酷使する職業なので、体のトラブルを抱えている人も少なくはないと思います。職人さんたちにとって体は大切な資本。日頃からしっかりケアをして、トラブルを未然に防ぎたいものです。そこで、職人の皆さんが抱える様々な身体のトラブルについて専門家にお話を伺おうというのがこの企画です。
今回は、毎日のようにお菓子を食べるパティシエ必見、歯のトラブルについてのお話です。

パティシエである筆者は、子供のころは虫歯ゼロ。小学校の歯科検診で虫歯指導をされることがなかったのですが、パティシエとして働き始めたころから歯医者に通う回数がどんどん増えていきました。「甘いものを多く食べる仕事だから虫歯になりやすいのだろう」と決めつけていましたが、ほかにも虫歯になりやすい原因はいろいろとあるようです。

虫歯の原因や虫歯になりやすい人の特徴、歯のケアにおすすめのケア製品など、兵庫県尼崎市の歯科医院、ケイズ歯科医院の院長・田中圭一氏と歯科衛生士・成瀬映子氏にくわしくお話を伺ってきました。

 

パン職人やパティシエが虫歯になるのは職業病?

「甘いものを食べると虫歯になる」といいますが、改めて「虫歯」とはどういうトラブルなのでしょうか?

田中医院長

虫歯とは、歯の表面に穴が開いた状態のことです。虫歯の原因はミュータンス菌と呼ばれるもので、糖分を餌として増殖していき、プラーク(歯垢)を作り出します。プラークの中で菌は増殖し、酸を出します。その酸が歯の表面のエナメル質に穴を開けることによって虫歯となるという仕組みです」

糖分を多く摂取すると、口のなかは酸性の状態が続くということです。唾液というのは口内環境を整えるには欠かせないものです。抗菌作用のほか、唾液は口の中をきれいに保とうとする自浄作用と密接な関係があり、唾液をたくさん分泌することでプラーク(歯垢)をある程度流すことができます。また唾液には、再石灰化という歯の表面を修復する働きもあります。試食回数が増えて、口のなかが酸性の状態になることで、唾液が働きかける活動が追い付かなくなり、虫歯になってしまいます

なるほど、唾液ってとても大事なんですね。わたしの周りのパティシエ仲間にも虫歯のトラブルを抱えている人が多い印象があるのですが、パティシエ・パン職人が虫歯に悩まされやすい理由は何なのでしょうか?

田中医院長


パティシエやパン職人の方が虫歯に悩まされやすいのは、まず試食をする機会が多いことが挙げられます。試食回数が増えるということは、口の中が長時間、虫歯の餌となる糖分にさらされているということですので、やはり虫歯リスクは高くなります。

虫歯のリスクを減らすには、やはりブラッシング(歯磨き)が一番効果的なのですが、試食でものを食べた後に、まめに歯をブラッシングできない環境であることも原因のひとつにあると思います。職業病とは断言できませんが、口の中に何か残った状態の時間がどうしても長くなってしまうパティシエやパン職人の方は、比較的虫歯になるリスクが高いかもしれません

 

虫歯になりやすい人の特徴

試食の機会が多い職業だと、どうしても虫歯のリスクが高くなるのは仕方がないんですね。ほかにはどのような人が虫歯になりやすいのでしょうか?

田中医院長


じつは虫歯になりやすい歯となりにくい歯というのは、個々の持って生まれた歯質、唾液の質にもよるんです

えっ、そうなんですか!?

田中医院長


はい。ただもちろん虫歯になりにくい歯の方でも、いつも何かを食べていたり、ブラッシングを怠けていると虫歯になってしまいますよ。
あとは先ほど唾液の果たす役割についてお話しましたが、唾液の分泌が少ない人も虫歯のリスクが高くなります。このような方が1日に何度も糖分を摂取し、ブラッシングができないともなれば、リスクは上がる一方です。
口呼吸をする癖がある人も注意が必要です。口呼吸をしている時間が長ければ長いほど口内は乾燥してしまうので、唾液が減る原因になってしまいます。

他にも食いしばりや歯ぎしりがひどい人は虫歯になりやすいですね。歯に強い力がかかると表面のエナメル質がはがれてしまい、冷たいもの・甘いものがしみやすくなったり、歯がもろくなったりします

聞けば聞くほど唾液は大切だということが分かってきました。でも元々唾液の分泌量の少ない人はどうすればいいのでしょうか?

田中医院長


唾液の分泌を高められる方法をいくつかご紹介します

① 唾液の成分の99.5%は水なので、こまめに水を摂取すること。
② よくしゃべること。話すことで唾液腺が刺激され、唾液が分泌されます。
③ キシリトール100%のタブレットやガムの活用。噛むことで唾液の分泌が促されます。
④ 口腔内マッサージやツボ押し。耳やあごの下にあるつぼを刺激すると、唾液が出てきます。

▲唾液の分泌をうながすマッサージ

ここまでお話を伺って、あまりにも自分が虫歯リスクが高い体質だったとわかり、愕然としてしまいました。落ち込んでいても仕方ないので早速教えてもらったツボを押すと、びっくり!!口の中には、梅干を想像したときのように唾液がでてくるではありませんか。
これからはツボ押しをマスターし、唾液分泌を促して唾液による自浄効果を上げていこうと思いました。

 

歯と味覚の関係性

田中医院長


歯の健康というのは味覚にも影響を及ぼします。
舌には味蕾(【みらい】:舌や軟口蓋にある、味を感じる小さな器官)というものがあり、ほほの内側や唇にも存在しています。自分の歯で嚙むことで、味蕾へ良い刺激が伝わり、味を感じる機能を十分に果たすことができます。味を感じることにはこの刺激がとても重要なんです。
虫歯が進行して歯の神経を抜いてしまうと、歯へ十分な栄養が届かなくなるために歯の寿命が短くなるとも言われています。パン職人やパティシエの方たちにとっては味覚は重要な感覚ですから、そのためにも歯のケアをしっかりしていただくことが大切です。
また、自分の歯が少ない人の方が、認知症や寝たきりになるリスクが高いというデータもでてきていますので、長くご自身の歯で食べることができるよう、今からケアを怠らないでほしいです。定期的に歯科医院で歯の健康を管理して、虫歯を早期に発見できれば、そこから進行せずに治療ができます

 

虫歯予防対策とおすすめのケア製品

ここまでのインタビューで、唾液の大切さ、虫歯予防としての対策は、ブラッシングと定期的な検診が大切であることがわかりました。つぎに、時間のない私たちが効率的かつ継続的に歯磨きをするための、プロおススメのグッズについてお話いただきました。

専門家からみておすすめの歯のケア商品を教えてください!!

歯科衛生士 成瀬さん


歯ブラシは口の中に残っているものを除去しやすいように、ヘッド部分が小さくて薄いものが効率的にブラッシングできます。とにかく口の中の奥まで届くことが重要です。
歯ブラシの硬さは、健康的な大人の歯には“ふつう”がお勧めです。柔らかいものはしなりやすく、歯や歯茎にブラシの先があたりづらいので、歯茎に腫れや違和感がなければ“ふつう”を選ぶといいでしょう。“かため”の歯ブラシは、強く磨くと歯の表面を傷つけてしまう恐れがあります。プラーク(歯垢)はブラシで適正な強さでこすれば取り除くことができますので、“かため”の歯ブラシでゴシゴシこする必要はありません。

歯ブラシだけでは、歯間や歯と歯茎の境目の汚れは完全に取り除けません。歯と歯の間の汚れを除去するためには、糸ようじなどのデンタルフロスや歯間ブラシもとても重要です。歯と歯茎の境目や、細かい部分の汚れを集中的に除去するには、ワンタフトブラシ(ポイントブラシ)がお勧めです

▲歯ブラシでは届きにくい部分をブラッシングできるワンタフトブラシ

歯科衛生士 成瀬さん

最後は、歯磨き粉です。虫歯予防という目的では、フッ素濃度が高いものが有効的です。日本では、フッ素濃度が最大1450ppmまでのものが販売されていますので、ご自身の歯磨き粉をすぐに確認してみてください。フッ素ジェルタイプのものを使えば、ジェルが歯の細かいすき間までいきわたり、持続的に歯を守ります

ひとくちにケア用品といっても形やサイズ、固さなどいろいろ種類があるんですね。アドバイスを参考に自分に合ったものを見つけていこうと思います。

歯科衛生士 成瀬さん


あと、歯磨きで大切なのは、回数ではなく質なんです。
1日3回磨ければベストですが、忙しい方は朝はさっと表面だけと割り切っても構いません。その代わりに夜は、唾液による自浄作用も下がるので、頑張って歯ブラシで磨いた後にデンタルフロスや歯間ブラシをプラスしてください。飲み物での糖分摂取後は、うがいをするだけでも歯や粘膜についたものを流せるので、いそがしい仕事の合間には、まずうがいを取り入れてみてください

 

取材を終えて

お話を最後まで伺い、虫歯予防のできる魔法のような製品はなく、歯医者で定期的にチェックしたり、こまめにうがいやブラッシングを心掛けるなど、自分の歯と向き合う決心をすることが虫歯ゼロへの一番の近道だと感じました。
歯の健康は味覚にも大きく関わってきます。食に携わる職人の皆さん、味覚を衰えさせないためにも、ぜひ歯のケアに取り組んでみてください。
歯は、身体と同じ。身体の健康診断のように定期的にかかりつけの歯医者をみつけて通ってみることで、虫歯ゼロを目指しませんか?

 

●取材協力
ケイズ歯科医院
住所:兵庫県尼崎市西川2丁目35-1
電話番号:06-6499-3322
休診日:木・日・祝日
サイトURL:https://keizu-dc.com/

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Writer
chefno編集部
パティシエール兼ライターの卵 ハルミ
chefno編集部
パティシエール兼ライターの卵 ハルミ
製菓業界に足を踏み入れて早20数年。読者目線の企画運営が目標です! 食べることと旅行が大好きな1児の母。サンマルク、カイザーゼンメルが大好きです♡
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