ARTICLE
2022.09.02
フランスからつづる!ブーランジェ通信 by成澤 芽衣 Vol.37『いつまでも大切にしたいフランスとの関わり』

こんにちは。 

突然ですが皆さんは「カヌーポロ」という水上の球技をご存知ですか? 

カヌーポロとは、イギリス発祥のスポーツで、パドルと呼ばれる小型のオールで水をキャッチしながら専用の艇を自由に操り、5人1チームとなってボールを奪い合い得点を競うゲームです。世界レベルになるとスピードもパワーも相まって「水上の格闘技」と言われています。 

わたしは腰を据えてパン職人の道を歩むと決意する2004年までは、このカヌーポロ日本代表選手でした。カヌーポロに出会った青春真っ盛りの15歳の頃から、毎日明けても暮れてもカヌーの練習をした結果、技術向上だけでなく、忍耐力や精神力もついたと思います 

そしてその忍耐力と精神力こそが、現在のフランス生活でも多少なりとも役に立っているのではないかとうっすら思っています。

▲2000年にブラジルで開催された世界選手権の写真。背番号3番がわたしで、12番(白のヘルメット)が当時フランス女子チームのキャプテンを務めていたSaint-Omer出身のイザベル選手

そんなわたしを育ててくれたカヌーポロの世界選手権がフランスで開催されると知り、わたしは先週末のお休みを利用して、北フランス Pas-de-Calais (パカレ)県にある Saint-Omer (サン・トメール)という町にカヌーポロの世界選手権の観戦に行ってきました 

2年に1回行われるこの世界選手権は、各国で開催されています。 ポルトガル、ドイツ、ブラジルやカナダ、2004年にはなんと日本でも開催されました。 アジア圏で初めて開催されたこの日本大会は、日本選手団をはじめボランティアや地元の皆さんが一丸となり、それは素晴らしい大会でした。
今年2022年の世界選手権がフランスで開催されると知人から教えてもらった時は、わたしのなかでうずうずしていたカヌー熱を抑えることが出来ずに、気づいたら Saint-Omer までの往復チケットを購入していました。 

▲フランス最北(ほぼ)の町・Saint-Omerの駅

わたしがフランスに初めて降り立ったのは、じつはパン研修や旅行ではなく、2003年のカヌー合宿の時でした。
当時の監督の教えで、「右も左も分からない若いうちに世界を見て来い」と背中を押され、20歳前後の選手6人だけでフランスの最北・Saint-Omer に武者修行に行ったことは今でも鮮明に記憶に残っています。 

あれから19年が経ったいま、カヌー選手としてではなくパン職人としてこの地に再び立っていることはとても感慨深く、当時からずっと良くしてもらっている元フランス代表チーム選手達もそのことを喜んでくれています 

今大会は日本代表チームも試合に参加しており、昔馴染みのカヌー関係者にも会えたり2003年のフランス合宿の時に一緒に練習をしたフランスの女子選手の1人が今大会では審判として決勝戦でジャッジの笛を吹いていたりと、「時の流れ」を感じるのと同時に、今日まで繋がってこられた「縁」とは素晴らしいものだと再認識したのでした。 

▲シニア男子決勝戦(ドイツvsスペイン)。迫力が桁違いで、全観客が釘付けでした

▲決勝戦直前の女子ドイツチーム(左)と女子フランスチーム(右)。選手一人一人の背中からこの大舞台まで昇り詰めた様々な思いが感じ取れます

試合を観戦すると同時にこれまでの「縁」を振り返ってみて、ひとつ思ったことがあります。それは、日本にいながらもパティシエ、ブーランジェとして働くことは、すなわち「フランス」という国に間接的に触れているということ 

もしこれから渡仏を考えているパティシエやブーランジェの方が読んで下さっていたら、わたし自身の経験からお伝えしたいことがあります。 

なかなか自分の思うように渡仏のタイミングが訪れず、もどかしくなってしまう時期があるかもしれません。でも、日本にいながらも身の回りにある「フランス」にアンテナを張って関わり続けることをどうか止めないで欲しいと思います。
フランス菓子・フランスパンを作る仕事に携わっていたり、フランスの食材を食べてみたり、フランス語を学ぶことや、絵画や映画を通してフランス文化を知ることなどどんな些細なことでも「フランス」に関わり続けていれば「継続は力なり」で、自分のなかに財産として残ると確信しています。  

そしてその「財産」は実際に渡仏するときに、きっとあなたの心強い味方になってくれると思います。 

▲約20年後の2022年もこうして繋がっていられる「縁」に感謝。元フランス代表・イザベル選手(右)とわたし

 

関連リンク
この記事をシェアする
Writer
成澤 芽衣
成澤 芽衣
運営サイトはこちら
2017年 フランス全国バゲットトラディションコンクール 優勝。 現在はフランスでフリーランスのパン職人として活動する傍ら、日本でのイベントや、東京にあるベーカリーでパンの監修をさせていただいております。 フランスから私なりの視点で、パンのこと、普段のことなどなど。 生のフランス情報をお贈りします。
1
ARTICLE
2021.11.11
パン屋が抱える5つの課題を解決できる、パンの自販機の魅力とは
chefno編集部
編集長 リョウ
2
ARTICLE
2022.09.15
第9回モンディアル・デュ・パン日本代表選考会レポート!
chefno編集部
編集&映像制作 コウヘイ
3
ARTICLE
2022.03.02
パンづくりとは我慢や苦労ではない。パン業界の古い慣習をなくしていきたい下町の人気店「メゾンムラタ」が語る効率化の重要性
吉村 智樹
4
ARTICLE
2022.05.04
「素材の自社加工」と「我が街のブランド化」で快進撃を続けるケーキハウス ツマガリ
吉村 智樹
無料会員を募集しています!
chefnoでは、会員登録することによって、会員限定のコンテンツを視聴したり、 製パン・製菓のセミナー(無料・有料開催)に参加することができます。 ほかにもいろんな特典を考えております。みなさまの登録をおまちしています!