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2022.07.14

フランスからつづる!パティシエ通信 by木村 翔 Vol.12『バカンスから生まれる新しい発想 』

こんにちは。

学生時代の夏休みや冬休み、楽しかったですよね~。夏休みに入る前から頭の中で計画を練って、休みがいざ始まれば、友達と遊んだり、旅行に出かけたり、夜更かしして昼に起きたり(笑)

「お前がパティシエになったら、夏休みなんて一生ないんだから、今のうちに沢山遊んでおけよ!」と、パティシエの父から言われていたのを懐かしく思い出します。なので高校3年生の夏休み(私の学生時代最後の夏休み)は、「これが人生で最後の夏休みか…」と少し悲しくなったのを覚えています。

ところが、フランスに来て私の夏休みは復活しました!!!

フランスでは現在、年間5週間程度の有給休暇取得が法律で定められています。1936年の人民戦線で民衆が勝ち取った権利として、年に15日間の法定有給休暇の制度が導入され、それ以降、次第に休暇の期間が延長され、1982年には現在と同じ5週間になりました。

フランスで働く多くの人が、夏に2~3週間、残りの休みを冬や春に取得しているというのが、私の印象です。

夏には南へ海を求め、冬には山でスキーをするのが定番のバカンスの楽しみ方。もちろん家族で海外旅行をする方も多いです。

▲夏のバカンスを南フランスのビーチで楽しむ人も多い

「めっちゃ休んどるやないか~い!」と思われた方も多いと思いますが、フランス人にとってバカンスはとても大切なんです。ひとつのバカンスが終わったと思うとすぐ次のバカンスの計画を話していますし、コロナの影響でロックダウン中でも、ラジオやテレビでは「コロナ禍でバカンスはどうする!?」なんて話題を、よく耳にしたものです。

「バカンスが大切!」なのには理由があります。家族や恋人との時間を過ごしたり、趣味に没頭したり、頭をリセットする大事な期間だからです。

私は新作を考える時に「ガーーっと集中」して、試作を繰り返すのも好きですが、バカンス中のリラックスしている時に突然、新しいアイデアが降臨することもあるんです。

私が働く「LES TROIS CHOCOLATS PARIS」は、ショコラトリーなので、冬は賑わいますが、真夏はどうしても売り上げが下がる傾向にあります。それに加え、ほとんどのパリジャンがバカンスでパリから離れてしまうので、7月下旬から8月いっぱいまでお店を閉めることにしています。

チョコレートもケーキも溶けそうな暑さのなか、街も閑散として人がいないのにお店を開けるのは精神的にもつらいですしね。

そんな訳で、今年も私のバカンスが近づいて来ました!遊んでいる時こそ、新しい発想が生まれる。バカンスの大切さをフランスで実感しています。

コロナ禍ということもあり、3年近く日本に帰国していなかったので、久しぶりに家族に会いに日本へ帰国しようかなと思っています。

 

 

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Writer
木村 翔
木村 翔
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青森県三沢市出身。
日本で10年修行後、渡仏。フランスに移住して5年。
現在は、パリにある「LES TROIS CHOCOLATS PARIS」のシェフパティシエとして働いています。
フランスでこの職業に誇りを持ち、異国での“パティシエ人生”を楽しんでいます。
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