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2022.08.11

フランスからつづる!パティシエ通信 by木村 翔 Vol.16「バカンスを利用し南仏へ(後編) シェーブル・ドールホテルでジュリアン・デュゴールのケーキを堪能」

こんにちは。

前編に引き続き、バカンスを利用して南仏にいる友人に会いに行ったお話をします。

後編は、南仏コートダジュールの鷲ノ巣村として知られているエズ村にある有名ホテル「シェーブル・ドール(Château de la Chèvre d’or)」でシェフパティシエをしているジュリアン・デュゴール(Julien Dugour)に会いに行ったお話です。
シェーブル・ドールのサイトはこちら

みなさんも、一度は彼のケーキをインスタで見たことがあるんじゃないでしょうか!
ジュリアンのインスタグラムはこちら

南仏の観光のシーズンといえば、やはり夏!!観光客が減る冬のシーズンは、このホテルはなんと営業していません!!なので必然的に彼のケーキを食べるとなるとこの真夏の時季になるんです。

ケーキにとって、暑さと湿度は強敵!!ですが、彼のケーキのすごいところは、たべる環境(暑さ)を考慮して、真夏でも美味しく食べられるケーキの構成になっています。

どうしても暑くなると、冬に比べてケーキが甘ったるく感じてしまうと思います。そのため彼は、できるだけ甘さをおさえ、旬のフルーツをたくさん使いフレッシュさを出しています。

▲素晴らしいロケーションとジュリアンのケーキ

甘さをおさえる方法として、彼から聞いた2つのポイントをご紹介します。

●生クリーム
動物性の生クリームのみで作るとコッテリした甘さになるため、ココナッツクリームと半々で生クリームを作っています。

●グラサージュ
グラサージュがあることで、甘みを強く感じてしまうため、仕上げにグラサージュは使わないそうです。

今回、彼のケーキを全種類食べましたが、食べた後にムッとすることなく最後まで美味しく食べることができました!

▲今回食べたジュリアンのケーキ。どれも美味しかったです

あの暑さで、しっかり形を保ちながら美味しく食べられるケーキをつくることができる彼の素晴らしい技術。私には真似できません。

ここで、少しジュリアンとの出会いについてふれておきます。彼との出会いは、パリのホテル・プラザ・アテネでお茶をしていた時。たまたま後ろの席に彼と彼の奥さんが居たんです!彼を見た瞬間、「うわ~、インスタで見た有名なシェフだ!!」と勝手にはしゃいで、話かけたのがキッカケでした。その際に、パリの店で働いていることを伝えると、彼から「明日お店にいくよ!」と言ってくれたんです。でも、私が出会ったほとんどのフランス人シェフが“行く行く詐欺”ばかりでお店に来る方はほとんどいなくてあまり期待していなかったのですが、彼は本当にお店に来てくれたんです(笑)彼に、店のショコラやケーキを食べてもらい、それ以降パリに来るたびにお店に顔をだしてくれるようになりました。

そして1番嬉しいニュースが!!
ジュリアンが自身のお店をニース市街に出すという話を聞いていたのですが、先月ようやくお店を始める権利を獲得したそうです!!現在開業に向けて準備中とのこと。このホテルで彼のケーキをいただくのは最高ですが、いかんせん丘の上にあるホテルという立地で、電車やバスを乗り継がないと辿り着けませんでした。ニース市街であれば、パリから飛行機やTGV(新幹線)で行くこともできますし、お店の目の前には電車の駅もあって立地も最高。パリからも気軽に行けそうです!

▲新店の準備が進むニース市街で

このパンデミックが終息したら、彼のケーキを求めて日本や世界中にいる彼のファンがきっとたくさん訪れることでしょう!!

ジュリアンの新たな挑戦が今から楽しみで仕方ないです!

最後に、
日本でも入手できる、彼の著書「Julien Dugourd – Mes patisseries, mon parcours, ma resilience」は本当におすすめです!たくさんのルセットやケーキの写真はもちろん、彼の生い立ちや彼が出会ってきた友人や仲間、影響をうけた人が紹介されていて、とても勉強になる一冊です。

 

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Writer
木村 翔
木村 翔
運営サイトはこちら
青森県三沢市出身。
日本で10年修行後、渡仏。フランスに移住して5年。
現在は、パリにある「LES TROIS CHOCOLATS PARIS」のシェフパティシエとして働いています。
フランスでこの職業に誇りを持ち、異国での“パティシエ人生”を楽しんでいます。
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