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2022.05.05
フランスからつづる!パティシエ通信 by木村 翔 Vol.2『フランスでパティシエをするなら自由を感じ、卓球を頑張ればいい??』

みなさん、こんにちは。

前回は、私がフランスでパティシエをしようと思ったきっかけについてお話しました。
今回は、私がいま猛勉強しているパティシエの国家試験受験のこと。そしてその勉強を通じて感じたフランスでの「自由」への考え方についてお話します。

現在、私はパティシエの国家試験「CAP Pâtissier (セ・ア・ペ パティシエ)」という、フランスのパティシエ技術資格取得に向けて猛勉強中です。
CAPとは、Certificat d’Aptitude Professionnelle のことで「職業適性能力資格」のことを指し、技術職の資格としては初級レベルのものになります。

もちろんこの資格を持っていなくてもパティシエとして働くことはできますが、フランス人パティシエのほとんどがこの資格を持っています。資格を取得するメリットとして「開業がスムーズにできる」、「開業後であればお店でフランス人の研修生を受け入れることができる」という点があります。

では、この資格を取るためには何をすべきか!
「実技とか衛生学を学べばいいのかな~」なんて安易に考えていましたが、その予想は外れました…なんと資格を取得するには、英語、フランス語、理科、数学、歴史、地理、宗教、体育(卓球??)の試験に合格する必要があるのです。もちろん全てフランス語で試験が行われます。

そう、パティシエになるには卓球ができなきゃだめなんです(笑)
それはいいとして、今まで私は歴史の勉強が苦手だったのですが、改めてこの資格のために勉強をしていると何だか楽しくなってきました!

その理由は、歴史の勉強を通じて、いま自分がここフランスで「自由」にパティシエの職業ができるルーツみたいなものを知ることができたからです。

ここからは私がフランスの歴史の勉強から感じた「自由」の考え方についてお話していきます。

皆さん「フランスと日本の違いはなんですか?」と聞かれたら、まず何を思い浮かべますか?
フランスに住んでいる日本人の知り合いにその質問を投げかけると「日本と比べて自由度が高い」と答える方がほとんどです。
僕らのようなパティシエだからではなく、他の仕事をされている方も含めて同じ回答をする方が多いように感じます。

不安と期待を抱えながら渡仏をしてきたわたしたちにとっては、この「自由」を感じるだけでも、フランスでの生活が楽しくなります。

この「自由」を感じられる国としての考え方や国民性はなぜ生まれたのか!私が学んだ歴史の勉強からご説明します(※独自解釈も含まれます)。

フランスのスローガンでもある「Liberté, Égalité, Fraternité(自由、平等、友愛)」。


これはフランス革命が始まった1789年から提唱され始めたのですが、それまでの古く凝り固まった考えはなかなか変わらず、実際の人々の「自由、平等、友愛」はすぐには実現されませんでした。

簡単にいうと、当時のフランスは、
王様最強!
2%の貴族、聖職者(宗教家)はハッピー!
残りの平民はめちゃくちゃ貧乏…
という感じで、まだまだ貧富の差や生活の違いがありました。

1905年には政教分離原則という法律ができ、徐々に掲げていたスローガンが現実を帯びてきた感じですね。それから100年、200年以上たった今でも、差別や貧富の差は進行系の課題ではあるものの、昔よりは随分改善されたとフランス人の友人が話していました。
実際、フランス国内ではしょっちゅう、自分たちの権利や自由のためにデモが行われています。フランスの「自由」というものは一朝一夕にではなく、とても長い年月をかけて獲得していったものなんです!

ちょっと待てよ!
そう言えば、日本が「ゆとり教育」をはじめたのも、フランス革命でスローガンを提唱しは始めたのと同じで、国は何かを変えたかったからなんでしょうね。
私は、平成元年生まれです。
18歳の入社日に「ついに平成のモンスターがやってきたぞ!」そう先輩パティシエに言われたのを今でも忘れられません。
「週休2日?8時間労働?有休?そんなの製造現場で実現できるわけないだろ!」というのが当時のある意味スタンダードでした。

そうこうしているうちに月日は流れ、私もこの業界に従事して14年。

▲Pâques(イースター)のためのタマゴ型チョコのパーツを制作

そろそろ、そんな考えもスタンダードではなくなってきましたよね。

確かに昔の職人は、非常に時間をかけて努力して積み上げてきた技術があり、実際に作り上げられたお菓子にもそれがしっかりと表現されています。そんな重鎮たちにはたぶん一生かけても私は追いつけないかもしれません…

ならば、違うやり方で戦って行くしかないぜ!平成のモンスターたちよ!!

▲Pâques(イースター)のタマゴ型チョコは葛飾北斎の「富嶽三十六景」をイメージ。(一緒に組立作業を行うのは「レ・トロワ・ショコラ」のオーナーパティシエの佐野恵美子氏)

ここフランスで「自由」という意味を理解して、平成のモンスターなりにパティシエ人生を楽しみたいと思います。
卓球もね!!

 

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Writer
木村 翔
木村 翔
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青森県三沢市出身。
日本で10年修行後、渡仏。フランスに移住して5年。
現在は、パリにある「LES TROIS CHOCOLATS PARIS」のシェフパティシエとして働いています。
フランスでこの職業に誇りを持ち、異国での“パティシエ人生”を楽しんでいます。
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