こんにちは。
皆さんは毎年パリ市が開催する「パリ・バゲットコンクール」をご存知ですか?1994年から毎年開催されるこの大会では、優勝するとその1年間、フランス大統領府のエリゼ宮に毎日バゲットを納めることになります。これは、ブーランジェとしてとても名誉な事です。
そして2022年、今年の優勝者はなんと、友人のブーランジェ、ダミアン・ドゥダン氏(Damien DEDUN)に決まりました!今回は、そのダミアン君が責任者を務める「Boulangerie Pâtisserie Frédéric Comyn」にお邪魔した時のお話をします。

▲パリ15区にある「Boulangerie Pâtisserie Frédéric Comyn 」。「meilleure baguette de paris – fournisseur officiel de l’Élysée (パリ最優秀バゲット-エリゼ宮御用達)」と書いてありますね。かっこいい!
ダミアン君とは2018年に出会い、共にヴィエノワズリーのデモンストレーションをしたり、祭典でパンを作ったり、友人を囲んで楽しく食事をしたりと、事あるごとに楽しい時間を共有してきました。パンの話を真剣に語ったり、フランクに話すこともできる、とても貴重な友人の1人です。
そんなダミアン君は、フランス全国規模のクロワッサンコンクールで優勝したり、2020年のクープドュモンドでフランス代表選手に選ばれたり、フランスのパン業界を第一線で引っ張るブーランジェです。
ですが、彼は「自分が美味しいと思うクロワッサンや、バゲットを作っているだけ。でも、そのおかげで国内中・さらには国を越えた素晴らしい出会いがあったり、貴重な機会に巡り合ったり、本当に感謝すべき事が自分の周りで起きている」と、とても謙虚に語っています。

▲2018年エピファニー(1月6日にガレット・デ・ロワを食す行事)でエリゼ宮に招待されマクロン大統領と。ダミアン君との出会いはこの時。(最上段左から2番目がダミアン君。中段左から3番目が私)

▲2019年の「Fête du pain(パンの祭典)」で一緒にパンを作った時
この日は、店内と厨房を案内してもらい、普段の仕事の様子を説明してもらいました。、いつものようにパンにかける熱い話で盛り上がり、あっという間に時間は過ぎていきました。

▲地下の厨房へとつながる階段。フランスのブーランジュリーは厨房が地下にあるスタイルが多いです

▲この大きなキューブ(ボウル)達は、なんと最大100kgの小麦粉の仕込みできるそうです。そしてそれが×5個。日々の製造量の多さを物語っていますね…

▲これから焼かれるバゲット。製造数はなんと一日2000本!すごい数です!ちなみにうちのお店では一日約500本を焼いています

▲仕事の手順など、ブーランジェ同士情報交換をしています
店頭にびっしり並べられた綺麗なパンとお菓子・ヴィエノワズリーは、色とりどりでどれも本当に美味しそう。バゲットコンクールで優勝した効果も相まって、店内とお店の外までお客さんがたくさんいらっしゃいました。

▲綺麗に並んだヴィエノワズリー達。どれも美味しそう…

▲商品はもちろん、陳列もとてもきれいです
国際的大都市「パリ」だけあって、ヴァンドゥーズの皆さんも英語が堪能。凄くサンパティック※でした!!
※サンパティック Sympathique = 感じの良い。フランスではこの「Sympathique 略してSympa (サンパ)をとってもよく耳にしますし、使用します。便利な形容詞です。
ダミアン君は、来年パリ郊外に自店のオープンを計画中。ブーランジェという仕事に誇りを持ち、材料・技術などのノウハウを若い世代のブーランジェに伝える事も大好きなダミアン君。話上手で、日頃からお客様と直接コミュニケーションも良く取るそうです。
パンの祭典でも、来場されたお客様がいつもダミアン君のパントークに釘付けだったことを思い出しました。

ダミアン君の明るい性格には華があります。彼の「ブーランジェの仕事」を伝えたいという想いが周りにも伝わってきます。彼の周りにはいつも人が沢山集まります
日本にもたくさんいらっしゃる熱い想いを持ったブーランジェ達と、ダミアン君が出会った時、とても素敵な化学反応が生まれる事は間違いないなと私はこの日確信しました。いつか一緒に日本でもパンが作れたらおもしろいな〜と、想像を巡らせながら帰路についたのでした。