皆さんBonjour 、パティシエの岸です。
前回の記事でお伝えしました通り、私が担当の「パティシエ通信」もいよいよ最後のお届けです!
今回は、最後にふさわしい題材「パック(復活祭)」です。
「おい綾子!パティシエ通信が終わるの寂しいからって復活したいんかい!!」。
すみません、一人で盛り上がってしまいました(笑)
ということで、本題に戻ります。
「パック」といってもいまいちピンと来ない方もいるかも知れませんが、英語でいう「イースター」と聞くとお分かりになるかと思います。
フランスでは、日本での「ひなまつり」需要に相当する行事で、力をいれているパティスリーが多いです。
パティスリーだけでなく、ショコラトリーやスーパーでも関連商品が販売されており「パック」の数週間前から卵やウサギの形を模したチョコレートが棚に並び、飛ぶように売れていきます。
フランスの家庭ではこれらのチョコレートを庭に隠して、子供たちが宝探しをして楽しむ、という習慣があります。
卵のモチーフの起源は古代エジプト・ローマ時代。生命や春のシンボルとして色付けをした卵を贈り合う習慣が元になっています。
パティスリーではパックのある週末にケーキが飛ぶように売れます(笑)
私が働く店「L’A pâtisserie」では、今年は“フレジエ ジャポネ”と題して、抹茶のショートケーキをパック用のスペシャルガトーとして販売することになっており、予約注文も順調に入ってきています。
ケーキ以外では、チョコレートで関連商品を作っています。
空洞の卵型の中に魚や卵の小さなチョコレートを入れてリボンで飾ったものにしてみました~。
ウサギと魚…
一見パックとは何の関係もなさそうなこの2つ。
ウサギは豊かさと春の象徴とされてていますが、一説には、そのむかし貧しい女性が子供たちにお菓子をあげられない代わりに飾りをつけた卵を庭に隠し、宝探しを始めた子供たちが卵のそばにウサギを見つけ、ウサギが卵を産んだと思いこんだ、というドイツの古いお話が元になっている、とのことです。
魚はというと、パックと時期的に近い4月1日のエイプリルフールが、フランスでは「ポワソンダヴリル(4月の魚)」と呼ばれることから、どさくさに紛れて仲間入りしています。
今では、卵を産むのはニワトリという印象が根付きニワトリも仲間入りして、ニワトリ型のチョコレートもあります。
何気ないことですが、つくり手としてなぜ今この様なお菓子を作っているのか、歴史を紐解きながら理解すると面白いです。
フランスでは、宗教とお菓子が深く結び付いており、そのお菓子にまつわる歴史的なエピソードがあることが多いです。
そのため、お菓子がフランス文化と共に歴史を歩んで来ているというのが、各パティスリーでの力の入れ方から感じることができます。
全く新しい奇抜な新商品を考えることも大事ですが、伝統的なお菓子への理解をより深め、そこに自分らしさをプラスする事も大事ではないかと思います。
そんなこんなで、これからもフランスでは綾子スタイルを貫いていきたいと思います!
ではでは、これで「岸 綾子のパティシエ通信」終了です。
これが非常に面白くて、この経験をフランスに興味のあるパティシエの皆さんに発信したくてchefno(シェフノ)さんのお力を借りて配信できたことは嬉しく思います。
コロナが落ち着いて、皆さんがフランスに来られる機会があり、「あのパティシエ通信の岸 綾子はホンマに頑張ってんのかいな?」と思われた方は、ぜひフォンテーヌブローにある「L’A pâtisserie」に足をお運びいただけると嬉しいです。
À bientôt
編集部からのお知らせ
これで岸 綾子さん担当の『パティシエ通信』は終了ですが、近いうちに新たなフランス在住のパティシエを迎え、復活する予定ですので皆さんお楽しみに!
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