こんにちは。
先日、パリとボルドーの中間地点に位置するNiort(二オール)と言う都市の郊外にある製粉会社 Bellot minoteries (ベロ・ミノトリー/Bellot製粉会社)の工場見学へ行ってきましたので、その際の様子をお伝えします。
今回の工場見学の目的は、
普段から自分たちが触れている小麦粉の製粉過程を実際に目で見てより深く理解すること。そして、実は次に述べることが重要なのですが。
フランスでパン屋を開業をするには製粉会社さんとタッグを組んで物件探しから進めていくケースが多々あり、その為のご縁づくりの様な目的もありました。
もちろんご縁づくりは大切な事ですが、なによりも同社で働く方々から小麦の話や会社の創立にまつわる話 などを直接お聞きできた事は、普段、小麦粉に触れてパンを製造している私にとって、滅多にない貴重な機会でしたので、感激することばかりでした。
同社は、230年も続く歴史ある製粉会社で、2018年に就任した現在の社長で16代目との事です。
それまではフランス国内、主に西側に限定して小麦粉を卸していたらしいのですが、16代目社長になってからは中国やシンガポールなどのアジア圏にも広く知ってもらえる様に取り組まれているとのお話でした。
日本でも、同社の小麦粉が使える日が近いかもしれないと期待に胸が膨らみました!
同社のバゲットトラディション用のType65の粉は本当に美味しく、小麦は製粉工場から80km圏内の畑で収穫したものですので、100%フランス産のローカル小麦粉です。
私も、自分のお店で使う小麦粉のうち何種類かはこちらの商品を使いたいと考えています。
余談になりますが、
工場に行く途中に、あのエシレバターで有名なエシレ村を通過しました。
そこにはM.O.F.(フランス国家最優秀職人)の称号をもつ ブーランジェ エリック・シュヴァルロー氏※のお店があます。
工場見学に連れて行ってくださった私の恩師である、同じくM.O.F.のブーランジェ、リシャール・リュアン氏※のお友達ということもあって、 お店にも立ち寄る事になりました。
パンとお菓子の見た目も美しく、美味しいパンばかりでした。
そしてなんといっても、素晴らしいお人柄なんです。
恩師のリュアン氏もそうですが、M.O.F(フランス国家最優秀職人)を受賞されていても、偉ぶる事なく誰にでも平等に接し、私達と同じ様に笑ったり、怒ったり、ものすごく人間味溢れる職人さんで、こういった大先輩方の側で時間を共有して同じものを見れる事、一緒にパンが作れる事、その価値ある一瞬一瞬を大切にしなくてはいけないなと再認識したのでした。
※エリック・シュヴァルロー(Eric Chevallereau)
1972年生まれ。
17歳からパン職人を志す。2007年にM.O.F.を受賞。2014年に故郷のフランス西部のエシレ村にパン専門店開業。エシレバターを使ったパンやタルトが人気。
※リシャール・リュアン(Richard Ruan)
1965年生まれ。
15歳でパンの世界に入り、2000年にM.O.F.を受賞。アメリカやイギリスでの経験を経て、フランスに戻り15年間Bellot minoterie のデモンストレーターとして勤務した後2008年にアンジェにパン専門店開業。全ての食材にこだわり、オーセンティックでシンプルで美味しいものを提供するリュアン氏らしい素敵なお店が住人に愛されています。