ARTICLE
2022.11.25

フランスからつづる!ブーランジェ通信 by成澤 芽衣 Vol.43「友人のブーランジェ ダミアン君が働く『Boulangerie Pâtisserie Frédéric Comyn』にお邪魔しました!」

こんにちは。

皆さんは毎年パリ市が開催する「パリ・バゲットコンクール」をご存知ですか?1994年から毎年開催されるこの大会では、優勝するとその1年間、フランス大統領府のエリゼ宮に毎日バゲットを納めることになります。これは、ブーランジェとしてとても名誉な事です。

そして2022年、今年の優勝者はなんと、友人のブーランジェ、ダミアン・ドゥダン氏(Damien DEDUN)に決まりました!今回は、そのダミアン君が責任者を務める「Boulangerie Pâtisserie Frédéric Comyn」にお邪魔した時のお話をします。

ダミアン君の働くお店の外観

▲パリ15区にある「Boulangerie Pâtisserie Frédéric Comyn 」。「meilleure baguette de paris – fournisseur officiel de l’Élysée (パリ最優秀バゲット-エリゼ宮御用達)」と書いてありますね。かっこいい!

ダミアン君とは2018年に出会い、共にヴィエノワズリーのデモンストレーションをしたり、祭典でパンを作ったり、友人を囲んで楽しく食事をしたりと、事あるごとに楽しい時間を共有してきました。パンの話を真剣に語ったり、フランクに話すこともできる、とても貴重な友人の1人です。

そんなダミアン君は、フランス全国規模のクロワッサンコンクールで優勝したり、2020年のクープドュモンドでフランス代表選手に選ばれたり、フランスのパン業界を第一線で引っ張るブーランジェです。

ですが、彼は「自分が美味しいと思うクロワッサンや、バゲットを作っているだけ。でも、そのおかげで国内中・さらには国を越えた素晴らしい出会いがあったり、貴重な機会に巡り合ったり、本当に感謝すべき事が自分の周りで起きている」と、とても謙虚に語っています。

マクロン大統領と

▲2018年エピファニー(1月6日にガレット・デ・ロワを食す行事)でエリゼ宮に招待されマクロン大統領と。ダミアン君との出会いはこの時。(最上段左から2番目がダミアン君。中段左から3番目が私)

Fête du pain(パンの祭典)」で一緒にパンを作ったメンバー

▲2019年の「Fête du pain(パンの祭典)」で一緒にパンを作った時

この日は、店内と厨房を案内してもらい、普段の仕事の様子を説明してもらいました。、いつものようにパンにかける熱い話で盛り上がり、あっという間に時間は過ぎていきました。

地下の厨房へとつながる階段

▲地下の厨房へとつながる階段。フランスのブーランジュリーは厨房が地下にあるスタイルが多いです

大きなキューブ(ボウル)達

▲この大きなキューブ(ボウル)達は、なんと最大100kgの小麦粉の仕込みできるそうです。そしてそれが×5個。日々の製造量の多さを物語っていますね…

これから焼かれるバゲット

▲これから焼かれるバゲット。製造数はなんと一日2000本!すごい数です!ちなみにうちのお店では一日約500本を焼いています

仕事の手順など、ブーランジェ同士情報交換

▲仕事の手順など、ブーランジェ同士情報交換をしています

店頭にびっしり並べられた綺麗なパンとお菓子・ヴィエノワズリーは、色とりどりでどれも本当に美味しそう。バゲットコンクールで優勝した効果も相まって、店内とお店の外までお客さんがたくさんいらっしゃいました。

綺麗に並んだヴィエノワズリー

▲綺麗に並んだヴィエノワズリー達。どれも美味しそう…

商品はもちろん、陳列もとてもきれい

▲商品はもちろん、陳列もとてもきれいです

国際的大都市「パリ」だけあって、ヴァンドゥーズの皆さんも英語が堪能。凄くサンパティック※でした!!
※サンパティック Sympathique = 感じの良い。フランスではこの「Sympathique 略してSympa (サンパ)をとってもよく耳にしますし、使用します。便利な形容詞です。

ダミアン君は、来年パリ郊外に自店のオープンを計画中。ブーランジェという仕事に誇りを持ち、材料・技術などのノウハウを若い世代のブーランジェに伝える事も大好きなダミアン君。話上手で、日頃からお客様と直接コミュニケーションも良く取るそうです。

パンの祭典でも、来場されたお客様がいつもダミアン君のパントークに釘付けだったことを思い出しました。

ダミアン君の明るい性格には華があります。彼の「ブーランジェの仕事」を伝えたいという想いが周りにも伝わってきます。彼の周りにはいつも人が沢山集まります

日本にもたくさんいらっしゃる熱い想いを持ったブーランジェ達と、ダミアン君が出会った時、とても素敵な化学反応が生まれる事は間違いないなと私はこの日確信しました。いつか一緒に日本でもパンが作れたらおもしろいな〜と、想像を巡らせながら帰路についたのでした。

 

この記事をシェアする
Writer
成澤 芽衣
成澤 芽衣
運営サイトはこちら
2017年 フランス全国バゲットトラディションコンクール 優勝。 現在はフランスでフリーランスのパン職人として活動する傍ら、日本でのイベントや、東京にあるベーカリーでパンの監修をさせていただいております。 フランスから私なりの視点で、パンのこと、普段のことなどなど。 生のフランス情報をお贈りします。
1
味覚と味蕾
ARTICLE
2023.06.13
教えて!専門家の皆さん!!美味しいものを作るために知っておくべき「味覚」について
chefno編集部
パティシエール兼ひよっこライター ハルミ
2
ARTICLE
2022.03.15
フランスにいったら役に立つ!かんたんフランス語講座 第11回『味の感想』
chefno編集部
編集長&映像制作 コウヘイ
3
ARTICLE
2024.01.09
インタビュー 老舗和菓子屋からパン屋へ パティシエ出身シェフが作る美しいパン ル・シュプレーム 渡辺 和宏
ベーカリーパートナー編集部
4
オーストラリアの伝統的なお菓子
ARTICLE
2023.02.17
オーストラリアからつづる!パティシエ通信 by永田 真由美Vol.04『オーストラリアの伝統的なお菓子って?』
永田 真由美
無料会員を募集しています!
chefno®︎では、会員登録することによって、会員限定のコンテンツを視聴したり、 製パン・製菓のセミナー(無料・有料開催)に参加することができます。 ほかにもいろんな特典を考えております。みなさまの登録をおまちしています!