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2022.10.04
【前編】コロナ禍で変わった販売方法って? 「予約強化と廃棄ロス削減を実現できたアプリの活用」-東京都世田谷MAISON KUROSU-

新型コロナウイルス感染拡大により、私たちの日常生活は一変しました。ベーカリー業界でも、それに合わせた変化が求められ、多くのお店が試行錯誤を繰り返しています。

以前、本サイトでご紹介しました、コロナ禍にオープンされたベーカリーでは、非接触で注文を受ける運営方法を取り入れられていました。

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このように、コロナの状況でもうまく運営をされているお店もありますが、まだまだ「自分のお店ではどうすれば良いか?」と悩まれているところも多いと思います。

「効果的な販売方法は?」
「顧客満足度はどうしたら上がるの?」
「売り上げの維持・拡大は諦めるべき?」

そこで今回は、コロナ禍にオープンしたにも関わらず、すぐに人気ベーカリーに仲間入りした「MAISON KUROSU」の黒須さんご夫妻に、売上を維持・拡大するためにおこなった工夫についてうかがいました。

 

ベーカリー激戦区 世田谷区のニューフェイス「MAISON KUROSU」とは?

▲常時30種類ほどのパンが並ぶ

「MAISON KUROSU」は、関東エリアを中心に店舗展開されている人気ベーカリー「ペニー・レイン」、フレンチ界の巨匠 ジョエル・ロブション氏が手掛けるフレンチレストラン「ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション」で腕を磨いたオーナーの黒須貴仁さんが、2021年4月にオープンしたお店で、「身体に優しい」をコンセプトに、無農薬の野菜や小麦、オーガニック食材、亜麻仁シードなど、こだわりの素材を使ったパンを提供しています。

▲黒須さんご夫妻

人気メニューは、フランス産の発酵バターを使った湯種食パン「雲」。もっちりしっとりしており、バターの風味が豊かでコクがあるのが特徴です。

ひとつひとつ丁寧に作られたパンを求めるお客さまがどんどん増えて、開業当初から人気店に。ですが、人気店が故に行列ができ、店内が密に。コロナ禍での対策に試行錯誤するなど、運営面では苦労されたそうです。その中で、ご夫婦が考えた対策は何だったのか??

 

お客様の安全を優先し、販売スタイルを模索する日々

コロナ禍でのオープンに際して最初におこなったのは、お客様が安心してお買い物ができる店内レイアウト決めだったそうです。

奥様

「当店は、コロナウイルスの感染拡大前から出店計画を立てていました。当初は、従来のように店内にパンを並べてセルフサービスでパンを取っていただくか、それとも衛生面を考えてショーケースにパンを陳列した対面販売にするか悩んでいました。そんなさなかに、感染拡大が本格化し、世間では衛生に対する意識が高まっている傾向があり、最終的にショーケース販売をすることにしました」

▲ショーケース販売では、お客様から注文をお聞きして販売スタッフがパンを取っていきます

「セルフサービスの場合は販売スタッフ1人でも対応できますが、ショーケース販売の場合は2人体制が基本となります。人数が増える分、人件費の問題はありますが、『お客様の安心感や衛生面は、それよりも大切』だと感じています」

ほかにも、真夏と真冬以外はドアを開けて空気の入れ替えを頻繁におこない、お客様が触れることの多い場所はまめにアルコール消毒をするなど、コロナ対策を徹底されているそうです。コロナ禍でできる販売スタイルを模索しながらも、なんとか順調にお店がスタートし、お店の前には行列ができるほどの人気店にまで!しかし、今度は新たな課題が生まれてきました。

ご主人

「ありがたいことに、たくさんのお客様がいらっしゃって、行列ができることも度々ありました。そうすると、欲しいパンが買えない方も出てきて、コロナ禍で外出がしづらいなか、せっかくお店に来ていただいたのに申し訳ないなと思い、電話での予約注文受付を始めるか、妻と相談していたんです」

奥様

「はじめは、忙しいなかで予約注文を受けて、受注間違いがあると申し訳ないという気持ちが強く、なかなか踏み切れなかったんです。でも、何事もやってみないとわからないので、思い切って挑戦してみました。電話を受けて、注文内容を間違えないようにメモを2枚準備し、注文内容を復唱する際に商品名が合っているかダブルチェックするようにするなど、自分たちなりに工夫をしながらやっていました。しかし、これがすごく手間で時間がかかるんです…。間違えていないかどうかの不安も結局消えず、頭を抱えていた時に、sacri(サクリ)※を運営する方がたまたま来られたんです」

※sacri(サクリ)とは
行列や売り切れ必至のパン屋さんで、好きなパンを事前予約・決済して、好きな時間・好きな日に受け取れるアプリ。

 

コロナ禍の救世主!?sacri導入で不安を解消。そして新たな情報を得ることに

予約注文に困っていたとは言え、全く知らなかったアプリ導入に抵抗感はなかったのでしょうか。

ご主人

「sacriの方のお話では、実際にアプリを利用されているお客様に、今後アプリ導入をして欲しいお店について質問をしているそうです。その要望店にうちも入っていたらしく、ちょうど予約注文の流れに悩んでいたし、アプリ利用者にも希望者がいるという事実も後押しとなって、導入してみようと思ったんです。このサービスとは偶然の出会いでしたが、僕からしたら救世主のような存在でした」

▲sacriの営業の方の熱意と分かりやすい説明も導入のきっかけになったと話すご夫妻

悩んでいたことが解消できそう、しかもアプリ利用者からの要望があったということで、とんとん拍子でアプリ導入へ。実際にアプリを導入して良かったことは、何だったのか聞いてみました。

▲手持ちの端末で商品登録や受注管理ができるので便利

奥様

「sacriでは、注文を受けると、専用の機械から自動的に伝票が出てくるので、書き間違えの心配がありません。一番不安だった受注ミスのことが解消できたのは、とても大きいですね。お客様は欲しいパンが確実に買えるし、事前決済なので、お店の前に行列ができていても、スムーズにお渡しできるため、密を避けることもできます。実際にアプリを利用されて購入されたお客様から『(この方法は)安心して買いに行ける』と言われることもあります」

▲アプリ利用者にスムーズにパンが渡せるよう案内POPや呼び出しチャイムを設置

アプリ導入後は、予約注文もスムーズになり、お客様からの評判も良く、運営は順調に!

さらにアプリ導入には、思わぬ副産物もあったそうです。

ご主人

「sacriでパンを購入される場合は、事前予約&事前決済になるので、その日に確実に売れるパンの量が先に分かるので助かっています。しかも、このアプリを使い続けて分かってきたことなのですが、sacriの予約数って、なぜかその日の販売数(アプリ利用でない通常販売のパン)に比例するんです。今まで、天候や曜日に合わせて製造数を決めていましたが、この見極めがけっこう難しいんです。でも、sacriの受注数で傾向が分かるようになってからは、製造コントロールもしやすくなりました。そのおかげで、廃棄ロスも減ってきたんですよ」

奥様

「それでもロスが多めに出てしまいそうなときは、通常よりお得にした『もったいないセット』という商品をsacriで販売しています。ロスも減らせて、使用する材料を無駄にすることがないので、一石二鳥ですね」

▲sacri販売ページより「不定期で販売されるもったいないセット」

取材後記

「MAISON KUROSU」のコンセプトは「身体にやさしいパン」。無農薬やオーガニックの食材など、身体にやさしい食材を使った美味しいパンを楽しんでもらいたいという気持ちが込められています。そしてsacriは、お店のファンに好きなパンを確実に手に入れてもらうためのお取り置きアプリです。どちらも根本にあるのは、「お客様に対していいものを提供したい」という気持ちです。同じような悩みやコンセプトを持つお店は 、sacriを検討してみてもいいのかもしれません 。

後編では、同じくsacriを導入されたベーグル専門店に、コロナ禍で変わった販売方法についてうかがいます。

 

●取材協力
MAISON KUROSU
住所:東京都世田谷区用賀4-28-20 プチモンド用賀
営業時間:10:00〜18:00
定休日:日曜、月曜
TEL:03-6336-5204
公式サイト:https://maisonkurosu.studio.site/
公式インスタグラム:https://www.instagram.com/maison_kurosu/

株式会社sacri
公式サイト:https://sacri.jp/

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Writer
安倍川モチ子
安倍川モチ子
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派遣社員として総合映像プロダクションや大手電化製品メーカーなどで、紙・WEBのプロモーション制作やコンテンツ制作に従事し、2018年よりフリーライターとして活動中。 現在はWEBを中心に、書籍や広告等の制作にも携わっている。グルメ・歴史・お笑い・健康・美容・ビジネスなど、興味のそそられるものを幅広く手掛ける。
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