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2022.06.09

フランスからつづる!パティシエ通信 by木村 翔 Vol.7『念願のパリに来て気付いた、素材選びの難しさ』

みなさん、こんにちは。

前回まで、3回にわたり、ワーキングホリデーでの体験談をお話しました。今回は、その後のお話をします。

私は、無事にワーキングホリデーを終え、ついに念願のパリにやって来ました!

▲パリ市役所(オテル ド ヴィル)前の広場

パリに来た理由は、現在私が働いているLES TROIS CHOCOLATS PARISのシェフパティシエとして働くことが決まったからなんです。

▲LES TROIS CHOCOLATS PARISで働くことがきまった時の写真

そもそも、何で働くことになったの?と思いますよね。

そのいきさつをご説明すると、私がお店を訪問した時に、オーナーの佐野さんとお話をしていると、たまたま私のインスタを見てくれていたことが分かり、そこから話が盛り上がって、とんとん拍子でシェフパティシエへのオファーへとつながったんです!やはりインスタってすごい(笑)

LES TROIS CHOCOLATS PARISは、パリの旧市街と呼ばれるマレ地区にあります。

▲マレ地区のヴォージュ広場にある噴水

この地区には沢山の観光客が訪れ、またお洒落なパリジャンが住む街としても有名です。流行りのブティックやギャラリー、LGBTバーなどが軒を連ねています。
※LGBT(エルジービーティー)とは、レズビアン(Lesbian)、ゲイ(Gay)、バイセクシュアル(Bisexual)の3つの性的指向と、トランスジェンダー(Transgender)という性自認の各単語頭文字を組み合わせた表現

▲ヴォージュ広場近くのカフェ

ユダヤ人居住区のあるこの地域には、多くのコーシャレストランがあります。パリの中でも、国籍や宗教や文化がひときわ入り混じっている地域と言えます。

自分のケーキをパリで作るぞ!と意気込んでいたわたしですが、この宗教の違いに悩まされました。その頃はフランスに来てまだ10ヶ月。宗教のことなど考えず、日本と同じ感覚でケーキや焼き菓子を作っていました。

そんなある日、僕にとって衝撃的な出来事が起こったんです。

それは、たまたまケーキをショーケースに補充している際に、お客さんに声を掛けられた時のこと。

●お客さん
「君がシェフか?」

●私
「はい。いかがされました?」

●お客さん
「この店のお菓子には、ゼラチンは何を使っているんだい?」

●私
「豚由来のものを使っていますよ。」

●お客さん
「なんてこった!!!!」

と言って、突然店を去っていってしまいました。一瞬の出来事で何が起きたのか訳が分からず。「なんてこった!」って言われても…と思っていました。

あとで分かったことですが、そのお客さんは宗教上の兼ね合いで、私が作ったケーキが食べられなかったのです。
それ以来、お店で使うゼラチンを豚から魚由来に変更したり、アルコールを使用するお菓子を最低限にしたりと、使う素材をガラッと変えました。

▲魚ゼラチンを使ったケーキ。ブルームの調整をすれば、魚ゼラチンでも問題ありません

私はこの出来事があってから、フランスで暮らす方や観光客のことも意識してお菓子作ろうと思い始めました。

世界中から美味しい食材が集まってくるパリで、出会ったこともない食材を使う。そして人種、宗教、文化の違いにどう対応すべきか。私のお菓子づくりの研究が、また一歩前進したことに間違いありません。

私の作ったケーキが「パリで1番だ!」と言っていただけることを目標に、フランスでのパティシエ人生を楽しんでいます。

 

 

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Writer
木村 翔
木村 翔
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青森県三沢市出身。
日本で10年修行後、渡仏。フランスに移住して5年。
現在は、パリにある「LES TROIS CHOCOLATS PARIS」のシェフパティシエとして働いています。
フランスでこの職業に誇りを持ち、異国での“パティシエ人生”を楽しんでいます。
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