ARTICLE
2021.12.21

フランスからつづる!ブーランジェ通信 by成澤 芽衣 Vol.6「最高級AOPバター“パンプリーバター”の製造現場に潜入!」

こんにちは

先日、フランス西部のDeux-Sèvre (ドゥ・セーヴル)県にあるPAMPLIE (パンプリー)村に行ってきました。

この「PAMPLIE(パンプリー)」という単語をどこかで耳にされたり、目にされた方もいらっしゃるかと思います。

そうです、ミルクの旨味と深いコクがとっても美味しい、あの「パンプリーバター」で有名なところです。
以前エシレ村に行ったレポートを配信しましたが、パンプリー村はそのエシレ村の隣にあって、エシレ同様、高品質のAOPバターの製造が盛んです。

ということで今回は、
パンプリー酪農業協同組合さんの乳製品工場を見学させて貰いましたので、その様子をお伝えします。

そもそも私がこのバターの存在を知ったのは3年ほど前で、コンサルティングしているパン屋さんで、このバターを使用したパンを作っていたんです。
そこの職人の方からパンプリーバターの良さについて教えていただいてから、非常に好きになりました。

それもあり、製造現場の見学が決まった時から、非常に気持ちが高ぶり、当日まで寝られないくらいでした。

では本題に…戻ります。
パンプリーバターのパッケージには、AOP(Appellation d’origine Protégée/アペラシオン・ドリジン・プロテジェ)、日本でいう「原産地呼称保護」の表示が貼ってあります。
このAOPと言うのは、指定された地域及び製法で生産されている事を保証するものです。
なので「パンプリー」という地域の名前に誇りを持ち、それを商品名として掲げているわけなんです。

では、その気になる製造工程を簡単に説明します。
生乳からクリーム分離器でクリームを取り出し、トノー(フランス語で「樽」という意味)という回転機器で、そのクリームを撹拌して作り上げる製法です。

 

①クリームの分離

クリーム分離器につながる3つのパイプ、左から「低脂肪乳」、「生乳」、「クリーム」と書いてあります。
要は生乳をクリーム分離器にためて、そこから低脂肪乳とクリームに分けていきます。
そのうちのクリームを使いバターにしていくのです。

②クリームを攪拌(かくはん)

攪拌機(トノー)でクリームを撹拌してバターを作り上げます。

③撹拌(かくはん)機から取り出す

撹拌機から取り出すとバターの山!ここから成形、包装されていきます。

④成形

この製法で作られたパンプリーバターは、職人さんがひとつひとつ手で計量し(5kg包装の場合)、自らバターの形を整えていました。
その美しく素早い職人技を真横で見ていて、一緒に見学していたブーランジェ仲間たちは全員声を揃えて「信じられない神業だ~!すごい~」など、思わず感激の声を上げていました。

⑤ラベリング

綺麗に成形されたバターは、包装され、AOPのマークの付いた(上の写真の赤丸箇所)ラベルを貼り完成です。
これぞパンプリーバター!と言わんばかりのゴールドカラーのラベルが素敵でした。

⑥梱包

梱包されたバターは国内外に出荷されていきます。

 

酪農大国でもあるフランスでは、数々のバターが製造されています。
その中でも、品質の高い最高級のパンプリーバターの製造現場を間近で見ることができて、非常に勉強になりました。
そして、このバターを使ったパン作りを想像するだけでワクワクしてきました。

本年のレポートは今回で終了です!
また来年1月上旬にレポートを再開します。

皆さん、早いですが良いお年を!

●パンプリー酪農業協同組合
サイトはこちらから

 

この記事をシェアする
Writer
成澤 芽衣
成澤 芽衣
運営サイトはこちら
2017年 フランス全国バゲットトラディションコンクール 優勝。 現在はフランスでフリーランスのパン職人として活動する傍ら、日本でのイベントや、東京にあるベーカリーでパンの監修をさせていただいております。 フランスから私なりの視点で、パンのこと、普段のことなどなど。 生のフランス情報をお贈りします。
1
パティスリーKII
ARTICLE
2024.03.19
和歌山・紀の川市から。ここでしか手に入らない素材を使ったお菓子づくりを楽しむパティスリー「KII(キイ)」谷本シェフの思考
chefno編集部
パティシエール兼ひよっこライター ハルミ
2
味覚と味蕾
ARTICLE
2023.06.13
教えて!専門家の皆さん!!美味しいものを作るために知っておくべき「味覚」について
chefno編集部
パティシエール兼ひよっこライター ハルミ
3
ARTICLE
2024.01.09
インタビュー 老舗和菓子屋からパン屋へ パティシエ出身シェフが作る美しいパン ル・シュプレーム 渡辺 和宏
ベーカリーパートナー編集部
4
ARTICLE
2022.01.13
フランスにいったら役に立つ!かんたんフランス語講座 第4回『行く』
chefno編集部
編集長&映像制作 コウヘイ
無料会員を募集しています!
chefno®︎では、会員登録することによって、会員限定のコンテンツを視聴したり、 製パン・製菓のセミナー(無料・有料開催)に参加することができます。 ほかにもいろんな特典を考えております。みなさまの登録をおまちしています!