皆さまこんにちは。
2 月中旬、フランスはまだ気温が-5度まで下がる日があったりなかったりですが、日本の皆さまはいかがお過ごしでしょうか。
少し時期はズレてしまうのですが、上の写真のお菓子をご存知でしょうか?
そうです、ガレット・デ・ロワです。知っている方も多いと思いますが、フランスなどヨーロッパのキリスト教圏の国々で、1月の公現祭の日(エピファニー)に古くから食べられている、パイ生地とフランジパーヌというアーモンドとカスタードクリームを混ぜたクリームでできているお菓子ですね。年々、日本のパティスリーやブーランジュリーでも上の写真のような模様のものが売られるようになり、とてつもなく綺麗なガレットを焼き上げる、お菓子作りが趣味の方もたくさんいらっしゃいますね。
「レイエ」と呼ばれる、生地の表面に切りつける模様も色々とバリエーションがあり、太陽や麦の穂などを表現したトラディショナルな物や、最近SNS で見るようなパティシエの方々のオリジナルなレイエなどがあります。今日ご紹介したいのは、そういった模様のバリエーションとは違うんです。以前私が働いていた職場にも、現在私が住んでいる地方でも、おそらく日本ではあまり知っている方はいないんじゃないかなと思うガレット・デ・ロワがあるんです。
それが、「ガレット・オランデーズ」と「ガレット・リヨネーズ」です。
まず、ガレット・オランデーズから。
こちらは名前の通りオランダが由来でしょ!?と思われるのですが、どうやら文献等で残っていないのか定かではないようです。(これに関しては諸説ありますが、オランダじゃないならどこなんでしょう??)
歴史的にはナントやトゥールという街でよく見られたとのことですが、私が働いていたロレーヌ地方のお店でも作っていました。下の写真のように表面はレイエではなく、アーモンド・粉糖・卵白でできたペーストと粉糖で覆われています。
▲ガレット・オランデーズ
中身はと申しますと、普通のガレット・デ・ロワと同じフランジパーヌクリームです。ただ、外を覆っているペーストが生む「カリッ」と「サクッ」の中間くらいの食感と、香ばしく焼かれたアーモンドの香りでより一層美味しいんです。日本ではあまりというか全く見たことも聞いたこともないので、もし興味を持っていただけたのであれば、インターネットで【galette des rois hollandaise】と検索していただくと出てくるペーストのレシピ(フランス語ですが)と焼成時間などを参考に作って食べていただけたらと思います。
次に、ガレット・リヨネーズです。
このガレット・リヨネーズは、名称として利用されているというよりはスタイルのような感じで、リヨン(フランスの第二の大都市)でよく見られる極薄焼きのガレット・デ・ロワのことです。
▲ガレット・リヨネーズ
▲中に空洞や隙間はなく、フランジパーヌが端までしっかりと詰まっている
そもそもGalette(ガレット)という単語自体が薄焼きを意味することはご存知の方も多くいらっしゃると思いますが、このガレット・リヨネーズは極薄焼きのメリットを最大限に活かすために、焼成中、生地が色づくか色づかないかの段階でいちどオーブンから出してシロップを塗り、シロップごとオーブンの中でキャラメル色になるまで焼きます。こうすることで生地の中に染み込んだシロップが生地に染みた状態でキャラメル化するので、普通のガレットの軽いサクッとした食感ではなく、カリッ、ザクッとした食感を生みます。
極薄に伸されたパイ生地は、この食感を生むため、そしてフランジパーヌクリームを包んで焼き上げるためだけにあり、味の主役であるフランジパーヌクリームを最高に引き立てます。一般的に味のバリエーションがいくつかあり、主にフランジパーヌ、プラリネローズ、ショコラの種類になります。プラリネローズは、リヨン名物のピンク色のアーモンドプラリネ(ローストアーモンドの糖衣がけ)で、ほかにもタルトやブリオッシュなどと一緒に焼かれたものがリヨン名物としてこの地域のあちこちで売られています。(ローズという名は色だけを指していて味と風味づけに特にバラは使われていません)

▲お店で売られているガレット・リヨネーズ
今回紹介させていただいた2 種類のガレット・デ・ロワですが、2 つとも見た目はオーソドックスなガレット・デ・ロワほど綺麗とは言えませんが、両者ともに特徴的な見た目・形だからこそ、引き出せる味があるのです。実際に2 つとも食べたうえでの私個人の感想ですが、正直普通のガレット・デ・ロワよりもこの2 つの方が好きです。リヨネーズに至っては1切れと言わずに1ホール丸ごとペロッといける気すらします。もし、来年の年始にフランス旅行でリヨン近郊にお越しになることがあるようでしたら、1月いっぱいガレットを販売しているお店もありますので是非お試しください。
ではまた次回の記事でお会いしましょう。
ベーカリーパートナー編集部