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2026.02.17

ベルギーからつづる!ブーランジェ通信 by若杉あかね Vol.3

みなさん、こんにちは。
前回の記事では、パンの世界大会「モンディアル・デュ・パン」の競技当日の様子や、大会の裏側をお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか。

今回は、ベルギーのクリスマス事情を中心に、年末年始のベルギーの様子をお届けします。年末年始はイベントが続き、パン職人として忙しくもありますが、一年の中で最もワクワクする時期でもあります。

この時期ならではのベルギーの特別な雰囲気が、少しでも伝わればうれしいです。

街が輝く、ベルギーのクリスマス

chefno ベルギー通信
クリスマスといえば、クリスマスマーケット!

ドイツや他のヨーロッパの都市同様、ベルギー各地でもクリスマスマーケットが開かれます。本場のドイツではクリスマスで終了してしまうところが多い中、ベルギーのクリスマスマーケットは、大体クリスマスの1か月ほど前に始まり、クリスマスを過ぎて1月の最初の週末まで開催されているところが多く、長い期間クリスマスの雰囲気を味わえます。

ヨーロッパのクリスマスマーケットの特徴として、会場内にスケートリンクや移動式の遊園地が設置されることが多いです。ベルギーでもクリスマスマーケットのスケートリンクと観覧車は定番ですが、ベルギー国内で一番規模が大きいブリュッセルのクリスマスマーケットには、それらに加えて、毎日30分おきに音と光のショーが市庁舎で行われます。毎年趣向を凝らしたプロジェクションマッピングが市庁舎と広場の建物に映し出され、これを観に多くの人が広場に集まります。私も毎年とても楽しみにしています。

冬の屋台グルメと定番料理
クリスマスマーケットでの楽しみの一つが、屋台グルメ。クリスマスマーケットには屋台がたくさん並びますが、その中でも特に人気なのは、ホットワインとTartiflette(タルティフレット)というジャガイモの料理の屋台です。

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▲タルティフレット

タルティフレットはジャガイモとベーコン、ルブロションチーズを使ったフランス・サヴォワ地方の料理ですが、ベルギーのクリスマスマーケットの定番でもあります。寒い中食べる熱々のタルティフレットは絶品で、タルティフレットの屋台にはいつも行列ができています。

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▲大きな鉄板で大量のタルティフレットが作られます

クリスマスを彩る、たべものたち

クリスマスのブリオッシュ
ベルギーでは、クリスマスシーズンに「クニュ(cougnou)」と呼ばれるブリオッシュを食べる習慣があります。クニュは、布に包まれた生まれたばかりのイエスキリストを表した形で、17世紀から食べられているベルギー独特の伝統的なパンです。クリスマスマーケットにはブリオッシュの屋台があったり、もちろんスーパーマーケットや町のパン屋さんでも売られます。

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▲クリスマスマーケットの屋台に並ぶクニュ

私自身も、製菓・製パンの専門学校に通っていた頃、クリスマスシーズンになると毎年クニュを作っていました。
定番はプレーンのブリオッシュですが、生地に大きな粒のパールシュガーやチョコチップを混ぜ込んだものも人気です。

アドベントカレンダー

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▲アドベントカレンダー

みなさんご存じの通り、ベルギーといえばチョコレートが有名です。

クリスマスが近づくと、多くのショコラティエがお店オリジナルのアドベントカレンダーを作ります。アドベントカレンダーは、12月1日からクリスマスまでをカウントダウンするカレンダーで、それぞれの日のポケットに小さなお菓子やチョコレートが入っています。私も2か月間ショコラティエでインターンをしていた際、ちょうどクリスマスの時期と重なり、アドベントカレンダー作りに携わったことがありました。アドベントカレンダーは子どもたちに大人気なので、スーパーマーケットでもさまざまな価格帯の複数のアドベントカレンダーが並び、人気のものは、あっという間に売り切れてしまうほどです。

ブッシュ・グラセ
日本ではクリスマスケーキといえばイチゴショートのようなスポンジと生クリームが定番ですが、ベルギーではムースを使ったブッシュ・ド・ノエル(Bûche de Noël)が一般的で、パティスリーやスーパーマーケットの店頭に並びます。さらに、そのアイスクリームバージョンであるブッシュ・グラセ(Bûche glacée)も人気のデザートです。

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▲ブッシュ・グラセ

クリスマス時期になるとパティスリーには趣向を凝らしたブッシュ・ド・ノエルやブッシュ・グラセが並び、見ているだけでも楽しい気分になります。

クリスマス前のもうひとつの主役「サンニコラ」

ベルギーでは、クリスマスを迎える前に「サンニコラ(Saint-Nicolas)」という、子どもたちにとって特別な行事があります。サンニコラは毎年12月6日に祝われ、赤い服を身にまとった聖ニコラウスが、良い子のもとへプレゼントやお菓子を届けてくれるとされています。子どもたちは前日の夜、自分の靴を玄関や暖炉の前に置き、翌朝サンニコラからの贈り物を楽しみにしながら眠りにつきます。
また、子どもたちはお礼として、サンニコラのためにビスケットを、そして一緒にやって来るロバのために牛乳を置いておく習慣もあります。

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▲サンニコラの格好をした小便小僧

日本ではクリスマス当日にプレゼントを贈るのが一般的ですが、ベルギーでは子どもへのプレゼントは主にサンニコラの日に渡されます。

サンニコラとクリスマスの意味合いの違いから、クリスマス当日はプレゼントもありますが、家族で食卓を囲み、ゆっくりと食事を楽しむことが大切とされており、日本のように恋人とロマンチックなデートをする日ではないのです(笑)

ガレット・デ・ロワで新年をお祝い

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▲お店に並ぶガレット・デ・ロワ

ベルギーではフランスと同様に、クリスマスシーズンが終わると「ガレット・デ・ロワ」の季節がやってきます。ガレット・デ・ロワとは「王様のガレット」という意味で、1月6日の「公現祭」の日に食べられるフランス発祥のお菓子です。
そのため、パン屋さんはほとんど休む間もなく、クリスマスが終わるとすぐにガレット・デ・ロワの準備に取りかかります。この時期になると、街中のパン屋やパティスリー、スーパーマーケットには、さまざまなガレット・デ・ロワが並びます。ベルギーでは、ほとんどすべての家庭でガレット・デ・ロワを食べると言っても過言ではありません。私自身もこの時期に、家族や友人と集まるたびにガレット・デ・ロワを食べるのを楽しみにしています。
フランスやベルギーでは、ガレットの中に入っている「フェーブ」に当たった人は、その日は一日王様(または女王様)となり、「周囲の人はその人の言うことを聞かなければならない」、という楽しい習慣があります。こうした遊び心のある伝統も、ガレット・デ・ロワが人気の理由のひとつだと思います。

次回はベルギーのバレンタイン事情についてお届けします。お楽しみに!

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Writer
若杉あかね
若杉あかね
ベルギー生まれ。 ベルギーの製菓・製パン専門学校で2年間学び、日々パンとお菓子に向き合いながら技術を磨いています。 ベルギーならではの食文化や日常、コンクール準備や現場で感じたリアルな経験、学校での実習などを中心に発信していきます。
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