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2023.01.31

パンの無人販売はあり?『ベーカリーMAHOROBA』の無人販売店経営から2店舗目出店を考える

ベーカリーMAHOROBA無人販売店

みなさん、こんにちは。chefno編集部です。

今回は、2店舗目出店を考えるベーカリーのオーナーさんが「こんな運営スタイルもあったのね!」とヒントになるような内容でお送りします。

現在のお店がある程度軌道に乗ってきたころ「そろそろ2店舗目の出店を考えようかな」と考えるオーナーさんもいると思います。とはいえ、2店舗目出店のハードルは決して低くないと思います。場所探し、従業員の確保、品質の維持などなど。

課題はもちろんあると思いますが、視点を変えることでその課題をクリアできるかもしれません!ということで、今回は、2店舗目出店計画を考える際の参考にしたい運営スタイルの事例として「パンの無人販売店」をご紹介します。

 

パン業界の常識を破る!ニーズに沿った運営スタイルで一躍人気店へ

ご紹介するお店は、もともと製パン業界のセオリーとは違った形で開業され、なんとその約1年後には、また一風違った運営スタイルでお店を増やした、ある意味業界の異端児ともいえるお店です。

2021年10月8日に、大阪の東心斎橋のスナックやBAR、ラウンジが軒を連ねる歓楽街にオープンしたのが「夜のベーカリー MAHOROBA」さん。

夜のベーカリー「心斎橋店」外観

▲夜のベーカリー「心斎橋店」

夕方5時オープン深夜3時クローズという、パン業界では極めて珍しい、夜に営業をするベーカリーです。「ベーカリーは早朝から営業するもの」といったイメージから脱却し、言わば「常識はずれ」だと思われたこの運営スタイルですが、出店されたエリアで働く、いわゆる夜のお仕事をする方々のニーズにマッチし、1年も経たないうちに人気店へと仲間入りされました。現在は、同じ運営スタイルで北新地店もオープンし、夜のベーカリーとしては2店舗体制です。そのMAHOROBAさんがまた新たな取り組みとして、2022年11月にオープンしたのが「無人のパン販売店」です。

夜間営業が人気ならば、「つぎも同じスタイルでお店を増やそう」となりそうですが、なぜ視点を変えて、無人販売店をオープンすることになったのでしょうか。

 

お客様のニーズに沿った運営を目指した結果。出した答えは…

MAHOROBA無人販売店の提灯
場所は大阪の鶴橋。昨今の韓国ブームも後押しし、美味しい韓国料理や焼き肉を求めてわざわざ訪れる観光客も多い、大阪では有名なグルメスポットです。駅から歩いて10分ほど、駅前の賑やかな雰囲気からは想像がつかないくらい静かな住宅地が広がる場所に、今回ご紹介する「ベーカリーMAHOROBA鶴橋無人販売店」さんがあります。

パンの無人販売店ののぼり

▲幹線道路沿いからも分かるように設置してあるのぼり。パンが無人販売されているのが分かります

早速、店内に入ると、よくある普通のパン屋さんと同じようにパンが陳列されていました。パンが陳列される店内
筆者の勝手な予想で、「無人販売であれば、種類を絞って少ない種類のパンを販売しているのだろう」と思っていましたが、こちらのお店では、30~40種のパンが置かれているそうです。そのなかでも、同系列の夜のベーカリー同様、カレーパンが一番人気とのこと。

MAHOROBA無人販売店の人気のパン

▲同店で人気のパン。カレーパン(写真手前)、クイニーアマン(写真左上)、塩パン(写真右上)

早くパンを買ってみたい衝動をおさえ、本題の運営スタイルについて、お店を運営される株式会社ジオさんに、いろいろお話を聞いてみました。

まず、こちらのお店を始められた経緯についてお聞きすると、一番のきっかけは「新型コロナウイルス対策」とのこと。「非接触で、いつでも安心しておいしいパンが買える」、そんなお客さんの要望をイメージして始められたのが無人販売というスタイルでした。夜営業のパン需要だけでなく、ユーザーニーズがあれば、新しい取り組みでもチャレンジするのが、ジオさんのスタイルです。

取材中に店内の撮影をしていると、慣れた手つきでパンを数個買って行くお客さんが何人も!既に、常連客がいることにびっくりしました。

ニーズがマッチすれば、無人販売でパンを売るのもありなのか!と取材早々から感心していましたが、筆者が取材前から気になっていたのが、「無人販売をする上でセキュリティ面や衛生面は大丈夫なのか?」ということ。メディアで流れてくる情報では、食品の無人販売(無人の餃子販売店など)という目新しさと共に、盗難などの事件も耳にします。実際にこちらのお店ではどんな対策をされているのでしょう?

 

無人販売で気になる「セキュリティ面」や「衛生面」の対策は?

こちらのお店で行っている、セキュリティ対策のポイントについてジオさんにお聞きしたなかから、特に気になった2点について以下にまとめてみました。

①住宅が多い立地選び
観光客が多く集まる場所やビジネス街などの場合、不特定多数の方が来店する可能性があります。一見(いちげん)利用の方が多くなる可能性もあり、無人販売の場合、盗難などのリスクが高いそうです。逆に、住宅街に展開して地域密着型にすることで、利用者の範囲は狭まりますが、ご近所さんの利用がメインになり、常連になるケースも高いため、自然と盗難リスクは低くなるそうです。こういった土地選びが重要ポイントになるかもしれません。

②カメラとモニターを設置
防犯カメラの設置はやはり必須とのこと。それに加えて、その映像を店内に設置した大きなモニターに映し出すことで、撮影していることを強調し、防犯性を高めているとのこと。

上記以外にも対策はされているそうですが、オープン後1ヶ月経った現在、盗難などのトラブルは一回も発生していないそうです。

次に衛生面への対策についてもお聞きしてみました。

①袋入りでの販売※一部商品を除く


商品は袋に入れて販売し、さらのトングを使って商品をとるスタイルにすることで、お客様が直接商品に触れることのないようにされていました。


②入り口での消毒の徹底とトングの再利用不可

有人販売でも同様ですが、トングとトレイが置いてあるすぐそばに消毒液を設置。さらに、購入の流れを記載した店内POPに、まず消毒をすることを記載して注意喚起を行っていました。使用済みトングとトレイを置く場所を設けて、未使用のものと混在しないように徹底されていました。

パンを取る際のトングの返却

※こちらのお店では、バックヤードにスタッフが常駐し定期的に使用済みのトングとトレイを消毒

衛生面では、有人販売店と基本的な対策は変わりませんでしたが、POPなどを使って分かりやすく案内表示することがポイントになっていました。

セキュリティ、衛生面での対策について詳しくお聞きし、やはり無人販売ならではの対策は必要であることが分かりました。最後に、無人販売ならではの購入や支払いのオペレーションについてお聞きしていきます。

 

無人販売で気になるあ「購入」や「支払い」の流れは?

無人販売となると、始めて利用されるお客様は少し戸惑ってしまいそうですが、こちらのお店では、購入をスムーズにするためにどんなオペレーションされているのでしょうか。簡単にそのポイントをまとめてみました。

○購入までの流れ
購入方法は、店内入り口付近に大きく案内POPを設置。基本的に、普通のベーカリーと支払までの流れは変わりません。パンを選び、あとは支払い時に支払いBOXにお金を入れれば購入完了です。思っていた以上にスムーズに買い物ができる印象でした。

▲POPを設置。イラストもあり分かりやすいです

○販売価格の設定と釣銭対策
販売価格は、商品毎に値段設定せず250円に統一(一部商品は除く)。購入者も、計算がしやすいようになっていました

手持ちに細かいお金がない場合は、両替用のガチャが準備されているので安心です。


このお店ではバックヤードにスタッフの方がいますので、お困りのお客様がいれば対応するそうですが、現時点でそこまでスタッフの方が呼び出しされることはないそうです。

 

無人販売のスタイルはどんな方におすすめなのか

ここまで、お店の運営面について詳しくお聞きしてきましたが、取材を通して筆者が感じた「無人販売はこんな方におすすめ」というポイントを3つ挙げてみます。

①ローコストで2店舗目を始めたい
いまある製造設備を使って2店舗分のパンを製造することができれば、無人販売店では売り場のみ準備をすれば運営が可能。初期投資(製造設備や人件費が不要)をおさえることができるため、比較的ローコストで2店舗目を始められそうです。

②営業時間外での売り上げを見込める
商品を補充することができれば24時間営業も可能。夜や早朝の時間帯に商品の販売ができれば、通勤通学の時間帯での需要が想定できます。競合も少なく、今までと違った売り上げが見込めるチャンスかもしれません。

③廃棄ロスを減らしたい
今ある有人のお店で営業時間内に売れなかったパンは、廃棄ロスとなるケースが多いと思います。営業時間外でも販売ができる無人販売でロスになりそうなパンを販売すれば、少しでもロスを減らし、売り上げにつなげられる可能性があります。

 

最後に

今回取材をしたこちらの店舗は、まだまだトライアル部分も多いそうで、運営をしながら今後の流れを決められるとのこと。このお店は、無人販売ではありながら厨房が併設されスタッフも常駐しているお店でしたが、今後は近隣に常駐スタッフがいない、完全無人店舗を増やすことも検討されていました。現在のお店を製造拠点として、近隣のお店にパンを配達、陳列する流れを作る事ができれば、2店舗目と言わず3店舗目も夢ではないですね。また、現在のお店とは違った地域(商品補充が可能なエリア)へ出店することもでき、最終的にはお店のブランディングにもつながりそうです。

今回ご紹介した「無人販売」のスタイルはあくまでも事例の一つですが、今後2店舗目の出店を考える際に何かのヒントになれば幸いです。

 

●取材協力
ベーカリーMAHOROBA 鶴橋無人販売店
住所:大阪府大阪市天王寺区舟橋町5-20
営業時間:7:00~19:00
定休日:月曜日
Instagram:こちらをクリック
公式HP:こちらをクリック 

 

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Writer
chefno編集部
編集長 リョウ
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WEB業界に10年以上従事して、現在はchefno編集部の編集長をつとめる。コーヒーが大好き!コーヒーに合うパンとお菓子を編集作業の合間に食べるのが楽しみ。車があればどこにでも取材に行きます!
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