みなさん、こんにちは。
2月といえば日本はまだまだ冬真っ只中ですが、こちらシドニーでは気温25−28度の日が続いて、気持ちの良い夏を堪能しています。街では、長めのホリデーをとっていた人たちが仕事や学校に戻っていく様子が伺えます。
今日は、「オーストラリアの代表的なお菓子ってなに?」と疑問に思っている方へ、いくつかご紹介したいと思います。
国民から愛される大定番「ラミントン」
まずは、「ラミントン」というお菓子。
四角いふわふわのスポンジケーキにチョコレートとココナッツがコーティングされているラミントンは、1世紀以上前からオーストラリアで愛され続けている定番のお菓子です。2006年には、7月21日が「ナショナル・ラミントン・デー」に制定されているほど、国民に愛されているお菓子なんですよ!
とはいうものの、初めて食べたときはカサカサで、喉に詰まって、あまり美味しいイメージがなかったのですが、最近ではアイデアのある素敵なものも出てきており、私も含め、色んなバージョンのFusion Lamington(フュージョンラミントン)を開発して楽しんでいます。
Tokyo Lamington (https://www.tokyolamington.com/)
ラミントンという名前は、18世紀末から19世紀初期までクイーンズランド植民地の総督を務めたラミントン卿 (Lord Lamington)、もしくはその妻にちなんで付けられたと考えられていますが、色々な説があり、明確にはわかっていないそうです。
私のお気に入りの話は、ラミントン卿に仕えていた女中が、誤ってスポンジケーキを溶けたチョコレートの上に落としてしまったという説です。チョコレートまみれのケーキを見たラミントン卿は、手が汚れるのを避けるために、来客にココナッツを付けて食べることを提案したのだとか。
オーストラリアのクリスマスといえばコレ「パブロバ」
二つめは、以前にこのパティシエ通信のvol.2「オーストラリアのクリスマスは真夏」で少し紹介しました、「パブロバ」というお菓子です。
作り方は、卵白にグラニュー糖、塩、コーンスターチ、バニラエッセンス、酢などを入れて、しっかり角が立つくらいまで泡立てたものをオーブンで焼いたものを土台にします。中は完全に火が通ってなくふわっとしているのが特徴。その甘い土台(メレンゲ)の上に、生クリームやフルーツを盛ったお菓子がパブロバです。
名前の由来は、世界各地で公演をおこなった最初のバレリーナ、Anna Pavlova(アンナ・パヴロワ)とされています。
このお菓子も長く国民に愛されているお菓子で、おとなりのニュージーランドでも親しまれています。どちらの国が発祥か(アンナ・パヴロワ がどちらの国のホテルでこのお菓子を食したか)で意見が分かれており、ニュージーランド人は「ニュージーランドが発祥だ」といい、オーストラリア人は「オーストラリアが発祥だ」と主張しています。
戦争の歴史が生んだお菓子「アンザック・ビスケット」
三つめは「アンザック・ビスケット」です。
オーストラリアやニュージーランドのスーパーでも年中売られていて、4月25日の祝日「アンザック・デー」には欠かせない一品です。
アンザックとは、第一次世界大戦時に設立された、オーストラリアとニュージーランドの連合軍(ANZAC)のこと。
アンザック・ビスケットは、兵士のお母さんや妻たちが、戦場へ向かう兵士に持たせたり、送ったりしたもの。連合軍の名前を冠したこのビスケットは、今でもそれぞれの国の退役軍人会のための資金集めのアイテムとしても利用されています。
材料には日持ちして栄養たっぷりの素材(オートミール、きび砂糖、ゴールデンシロップ、バター、小麦粉)が使われており、中が少ししっとりしているのが特徴です。素朴な味で腹持ちが良く、私も出かける時によくカバンにしのばせています。
今回は、オーストラリアの伝統的なお菓子をご紹介しましたが、移民の多いオーストラリアでは、地域によってイタリア、フランス、ギリシャ、タイ、ベトナム、インドネシアなどなど、さまざまな国のお菓子に出会えるんですよ。
また機会があればそれらの国のお菓子が多国籍文化の発達するオーストラリアでどのように楽しまれているかもご紹介したいと思います。
余談ですが…オーストラリアでも日本食は何年か前から大きなブームで、最近では大福が流行っています。日本へ旅行に行くオーストラリア人も増えているようで、日本好きのオーストラリア人によく会う気がします。
オーストラリアの人たちに会ったら、ぜひ「How are you, mate?(ハウアーユー、マイト?)」と言ってみてください!「mate」 は日本語でいうと親しい友人を呼ぶときの愛称です。きっと仲良くなれると思いますよ!