こんにちは!
シドニーでは、最近冷たい風が少しずつ吹き、海に入る時にウエットスーツが無いと水が冷たいと感じることに秋の訪れを感じています。
さて今回は、私がコンサルタントのお仕事を始めたきっかけや仕事内容についてご紹介したいと思います。
目次
コンサルタントをはじめたきっかけ
私は、2018年に“Mimi’s Pastry”という屋号で個人事業を始めました。当初は、コルドンブルーでの講師をしながら、個人事業の仕事として自分で制作したお菓子をインターネットで販売したり、クッキングスクールの講師をしたりしていました。
個人事業の仕事もある程度慣れてきた頃、次のステップとして、他のお店のお手伝いができる、コンサルタントの仕事ができればと考え始めていました。
コンサルタントのお仕事について構想をしていたある日、知り合いのとあるお店のオーナーから「ヘッドシェフが突然辞めてしまったんだけど、できれば真由美、働きにきてもらえない?」というオファーがあったんです。講師の仕事と個人事業を辞めてそのお店で働くというのは私の中のイメージとは異なっていたのですが、ちょうどコンサルタントの仕事をしたいと構想していたところでしたので、オファーをしてくれたオーナーに「コンサルタントとしてなら週に2回お手伝いできます」と提案してみたんです。オーナーからは「ぜひ一緒に働いてほしい」という回答があり、コンサルタントとしての初めての仕事が決まりました。
コンサルタントの仕事ってどんなことをするの?
コンサルタントという言葉は聞いたことがあると思いますが「実際にどんなことをするの?」と思われた方もいると思いますので、私がコンサルタントをする際のおおまかな流れについて書いてみました。
Step1「カウンセリング」
・お店のビジョンとゴールを決める
・現状把握(商品、スタッフのレベル、コストの確認)
・改善、開発してほしいことは何か
・コンサルタントの期間の確認
Step2「現場での現状把握」
現場で私も仕事をしながら、改善やサポートできる内容を確認。
ここではカウンセリングでは見えなかった点を確認することも大事です。
Step3「コンサルタントプランの提案」
現場の仕事を2、3日した後、あらためて私の目線から最初にどこに力を入れていくべきか大まかなプランを立て、オーナーと話しながら最終プランを決めます。
次では、冒頭でお話したコンサルタントのオファーがあったお店で、実際に私がした仕事内容を詳しくご紹介していきます。
【事例】お店で行った9つのサポート
依頼を受けたお店の状況
オーナーがお店を始める際にヘッドシェフを雇い、レシピ開発や運営面を相談しながらスタート。そんな中突然ヘッドシェフが辞めてしまい司令塔が不在に。オーナー、見習いのパティシエ2人(パートタイマー)の3人編成でこれからお店を運営することを強いられる。
こんな状況で、私にオファーが来ました。ちょうど私が夏休みだったこともあり、その期間を使いアドバイザーとしてお店に入ることになりました。
実際にした9つのサポート内容
1:レシピブック作り
スタッフが、元ヘッドシェフから各レシピを教えてもらった時のメモを個々に取っていましたが、共通のレシピが保管されていませんでした。そこで、メモの内容を参考に、新たにレシピブックを作りました。
2:人気商品の品質強化
このお店では、クロワッサンが人気商品でしたが、元ヘッドシェフ以外のスタッフがクロワッサンの製造が未経験であることが発覚。そこで、クロワッサンの製造の基本の勉強と並行して、以前の品質に近づけられるようにスタッフのみなさんにレクチャーを行ないました。
まず、オーナーをメインにレクチャーしたのですが、最初の段階でかなり苦戦することに。そんなある日「こんなクロワッサンなら冷凍の物を買って解凍して焼成した方が良い!」と言わざるを得ないできごとがありました。この件で、オーナーに強めに指摘をしてしまったことで、オーナーのプライドを傷つけてしまいました。ですが、この一件がオーナーが奮起するきっかけになり、オーナーは一人で猛特訓を続け、翌週にはとても品質の良いクロワッサンを作ってきたことに驚かされました。今では「あの時、真由美にあんな強く指摘されていなかったら、今の品質のクロワッサンは無い」と笑って話しています。
3:人気商品以外の品質確認と改善
クロワッサンだけではお店が成り立たないので、ラインナップしている商品の品質を確認し、改善点を洗い出していきました。
4:製造工程と各作業の見直し
各商品の品質を確認後、どのように安定して製造ができるか、工程や製造スケジュールなど細かく設定していきました。また、オーナー以外は、見習いのため、スタッフへのオペレーション方法などもアドバイスしました。
5:スタッフトレーニング
これまでの行程を終え、実際にオーナーだけでなくスタッフ全員のトレーニングを行います。作業を通しで行い、何か気になるところはヒアリングして細かい調整をしていきます。
6:コストの見直し
原価計算を行い、採算が取れる価格設定やコストバランスが合っているかなどを見ていきました。この品質であれば、この材料は見直した方が良いなど、気になる箇所はとことん見直していきます。
7:材料業者の比較
見直しが必要な材料が仕入れできる業者はどこか、同じ材料でも安く仕入れができるところが無いかなどを確認しました。
8:新商品開発
定番商品も大事ですが、飽きられないための施策も必要です。そこで、新商品の開発もこの段階から行っておきました。
9:今後の課題の確認
今起きている課題だけでなく、今後起きそうなことを見据えて対策できることや、起きてしまった時の対処法を書き出しておきました。
ここまでが、お店でのコンサルタントのお仕事でした。実は、今回のサポートの成果もあり、いまは行列のできる有名店になっています。
そのお店での経験のおかげもあって、みなさんが何を求めているかがわかり、冒頭でご紹介したコンサルタントの大まかな流れを決める事ができました。それぞれお店によってもちろん求められることは違いますが、私のなかで仕事の方針を決められた大切な第一歩となりました。
コンサルタントの好きなところは、いろいろな人に出会えて、常に新しい刺激を受け、学びながら仕事ができることです。また、お手伝いしたお店に多くの方が来店され、お客さんに愛されながら運営されているのを見ると、本当にこの仕事をしていて良かったなと思います。もちろん大変なこともたくさんあります。たとえば、人をうまくリードしていく話し方が必要であったり、お菓子を上手に作る以外の事で壁にぶつかったり、くじけそうになることだってあります。ですが「失敗は成功のもと」と自分に言い聞かせてやっています。
これからも、型にはまらない私のスタイルで、いろいろなお店のお手伝いができたらと思っています。自分は裏方で人に関わる仕事が好きなんだなと、しばしば感じる今日この頃です。
みなさんのなかには、独立するなら自分のお店を持ちたいという方もいると思いますが、コンサルタントという選択肢もあることを、この記事を見て参考にしていただければと思います。