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2023.12.22

オーストラリアからつづる!パティシエ通信 by永田 真由美Vol.10「海外で働くということ。そしてこれからのパティシエの道」

こんにちは。
12月に入り、街がクリスマスの準備で騒がしくなってきました。
さて今回は、私がこれまでにいろんな国でパティシエとして働いてきて感じた、海外で働くうえでの心構えや、私のこれからの目標をお話できればと思います。

海外でパティシェとして働く 前に知っていて欲しい3つの心得

製菓学校の生徒にデモンストレーションをする永田さん
日本での経験は必ず海外で役に立つ

私は、これまでに日本、フランス、シンガポールを経て、現在オーストラリアでパティシエの仕事をしています。みなさんの中には、 海外で仕事をするのは大変だと思うかたも多いかもしれません。たしかに大変なことも多いですが、私が海外で仕事をすることができたのは、日本でのパティシエ経験があったおかげだと思っています。その理由は、仕事を通じて日本人の探求心、追求心(良いものを作ってお客さんと分かち合いたいという考え)を学ぶことができたからです。この学びから得たことを日本にいる時はあまり感じていませんでしたが、海外で仕事をすることになってから、これまでの日本の経験がとても重要であったと感じるようになりました。また、日本人ならではのまじめに働く姿勢も、私としては仕事をするうえでプラスだと思います。

追求心があったから海外で挫折をしなかった

私が、日本で働いていた頃からのこだわりが一つあります。それは、“自分が今一番好きで、学びたいお店で働く”ということです。とはいえ、自分が働きたいと思っても、一回のアプローチで受け入れてもらえる保証はありません。受け入れてもらえない場合でも何度もアプローチして、それでもだめならその店でインターンシップをしたりして、最後にはお仕事のオファーをいただけることもありました。

諦めなかったおかげで、最後にはうまくいった経験が多いです。

海外で仕事が見つからなかった時期は、アポイントなしで履歴書を持って20件くらい歩いて回ったこともあります(笑)今ではインスタグラムでアプローチするケースもあると思いますが、その昔、現地の言葉を書くことも喋ることもままならなかった時に、知り合いが「言葉が話せないなら、直接会いに行って、仕事を見てもらったら良いじゃん」と言ってくれたんです。私はその助言を実践して、仕事に就くことができました。

挫折をせず、追求する心を忘れなかったからこそ、この行動ができた気がします。

外国語が話せないのはマイナスではない

海外に行くまでに、外国語の勉強をしっかりしようというかたも多いと思います。なかには、なかなか勉強ができず、それで諦めるケースもあると思います。でも一つだけ言います「なんとかなります!というかなんとかなるように、行動するのが大事です」。

実は、私が渡仏した時には、フランス語はまったく話せませんでした。渡豪した時も、学校で習った英語はほとんど覚えていないほどの英語力。渡豪する前には、フランスに5年住んでいたこともあり、フランス語なまりの片言の英語を話す、不思議な日本人だと現地の人に思われていたかもしれません。オーストラリアで仕事をしようと思ったお店の面接では、フランスで出会ったオーストラリア人の旧友に付き添ってもらい、通訳してもらったこともあります。

私が、渡仏する前に「言葉」の不安を口にした時に、母は「同じ人間だからボディーランゲージでなんとかなるよ」と言ってくれたんです。その言葉でスッと気持ちが晴れ、言葉の壁を大きなものだと考えずに海外に行けたのは良かったと思います。

ここまでは、私のこれまでの経験をもとにお話をしました。海外に少しでも興味がある方は、諦めずにその目標をぜひ達成してくださいね。さて、次では、私のこれからの目標についてお話ししていきたいと思います。

これからのパティシエとしての道

10代・20代頃には、いろんなことを学べるだけ学んで、将来は先生になりたいと思っていたので、お菓子のことだけでなく、人に教える立場で必要となるビジネスや人との接し方に関する知識を本などを通して勉強していました。 もちろん、挫折もたくさんあったのですが、まわりのみなさんからの励ましと支えがあり、転びながらでも続けてみる。そして、目標を達成するまで、あまり考え過ぎずに流れに任せて今に至ります。

これからの目標は、伝統とモダンを取り入れたアーティスティックな考えを持ち、生徒達にとって身近な存在である製菓学校の先生としてパティシエを続けていきたいですね。オーストラリアでも、日本と同じくパティシエとして仕事を始めても、厳しい仕事の世界を経験し辞めてしまう人も多いのが現実。良い環境を整えて、一人でも多くの若者が、パティシエとして長く働き続けられるように、生徒の育成に携わっていけたら良いなと思っています。

オーストラリアの製菓専門学校の生徒たち

▲製菓学校の生徒たちと

私がパティシエを始めた時に出会った師匠からは、さまざまなことを学びました。今も、私がパティシエを続けられているのは、師匠のおかげだと思っています。そんな師匠のように人に何かを伝えていく仕事として、私には先生の仕事があっているような気がします。

さいごに、
「楽しいパティシエ人生を伝えたかったら、まず自分が楽しむのが一番!」だと思います。

 

実は、私のオーストラリア通信は今回で最後になります。
1年間読んでくださったみなさん、ありがとうございました。

オーストラリアでのキャリアを考えている方や興味のある方に、少しでも参考になれば幸いです。私のオーストラリアでの日々の活動は、インスタグラムでも発信しておりますので、ぜひフォローしてくださいね。

これからもよろしくお願いします!

バルモラルビーチでのショット

▲私の好きなバルモラルビーチでのショット。オーストラリアには最高のロケーションがいっぱいです

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永田 真由美
永田 真由美
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お菓子の道まっしぐら20年とちょっと。 出身地の広島から、フランス、シンガポール、現在オーストラリアでパティシエールとして情熱を持ってお菓子を作ってます。現在、ル・コルドルンブルーの製菓部門の講師兼、2019年からは小さな会社「Mimi's Pastry」を立ち上げ、コンサルタントとして活動しています。
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エディター兼ライター シオリ
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