こんにちは。
フランスに住んでいると、日本の友人や知り合いに「フランスでおすすめのブーランジュリー、パティスリー、レストランはどこ?」と聞かれることがよくあります。
人はそれぞれ味覚やセンスなど違うものを持っているので、「このお店は絶対美味しいから行って欲しい!!」と、押し付けるような言い方はせず、「美味しいと思うから、もしよければ行ってみたら〜?」と、やんわりおすすめする程度でした。今までは。
しかし、先日訪れたレストランは、自信を持って「絶対に行くべき」と言い切れるほど衝撃的に美味しかった。美味しいだけではなく、料理と空間の全てが美しく、サービスも素晴らしく、居心地がよく、このレストランに滞在している時間があっという間に過ぎてしまいました!
そのレストランの名前は、パリ16区にある「Ôrtensia(オルタンシア)」。
フランス中の数々の由緒あるレストランで経験を積まれた、齊藤照允シェフが経営するこのお店は2022年1月にオープンしました。
私が齊藤シェフの存在を知ったのはインスタグラムでした。齊藤シェフが2018年に前職場のレストランでミシュランの星を獲得した事を知り「同郷の日本人がパリで星を取るなんて素晴らしいなぁ」と感激し、いいね!のハートマークを押しました。
それからも、シェフが時折インスタにアップする美しく華やかな料理の写真を見ては「いつか実際に食べてみたい」と思うようになっていました。
それから3年が経った2021年に、ひょんなことから共通の友人が居ることを知り、シェフにお会いする機会を頂きました。
実際にお会いした齊藤シェフは物腰が柔らかく、常に相手の立場に立ってお話をされる非常に慎み深いお方という印象を受けました。その際に、シェフがご自身のレストランをオープンされると知り、「絶対に行こう」と心に決めていました。
そしてついに2022年秋、2018年からひっそりファンだったシェフのレストランに、心躍らせながら行ってきました。
まず出てきたのはシャンパーニュ。ここから3時間半に及ぶ美食の旅は始まりました。コースの概要は「カルト・ブランシュ*」といって、シェフのおまかせコースです。食べられないものやアレルギーを事前に伝えて、シェフとキッチンの方達が腕を振るってくれます。とっても気さくで気の利くソムリエの方が丁寧にワインや料理の説明をしてくださり、客席の雰囲気もそれは素晴らしいものでした。
※Carte blanche(白いカード)は、白紙委任状のことを指し「自由な裁量で行動できる」という意味。 Carteには「メニュー」という意味もあり、レストランでカルト・ブランシュと言えば「シェフのおまかせ」。
この日に提供して頂いたものは、
①シャンパーニュ
②アミューズ・ブーシュ
③前菜
④メイン
⑤プレ・デセール
⑥デセール
⑦カフェとミニャルディーズ
でした。さすが一流のシェフ。膨らみすぎた私の期待は裏切られることなく、料理のスタートから終わりまでその全てが美しく、そして美味しく、終始感激の嵐でした。
そしてブーランジェールの私が特に感激したところは、Ôrtensiaさんで食べられるパンはあの伝説のブーランジェ、プージョラン氏のパンなのです。
昔はパリのInvalides駅のそばでお店を運営されていましたが、現在はレストランへの卸専門でパン作りをされています。程よい甘みとルヴァンの爽やかな酸味が感じられるこのパンは、それだけでパクパク食べてしまいたくなるくらい美味しいのです。
そしてパンと共に提供されるレストラン自家製のバターはブール・ノワゼット製法*で作られているので、香り高く、味にもの凄い深みがあり、もう絶品としか言いようがないくらいです。
※ブール・ノワゼット(Beurre Noisette)製法とは、パティスリーではよく使われる、いわゆる「焦がしバターの」こと。オルタンシアではバターの水分を飛ばして風味を高くしたバターに生クリームを加え、とある手法で固めることで極めて風味の高いバターを作り出しているそう。
パリに来られる際は絶対に行っていただきたい、激推しのレストランです。エッフェル塔もすぐそばに見えるので、観光と一緒にセットで行かれるのも良いかもしれません。
●About Shop
Restaurant Ōrtensia
住所:4 Rue Beethoven 75016 Paris
公式サイト:https://www.restaurantortensia.com/
公式インスタグラム:https://instagram.com/ortensiarestaurant_paris?igshid=YmMyMTA2M2Y=