ARTICLE
2021.11.11

パン屋が抱える5つの課題を解決できる、パンの自販機の魅力とは

こんにちは。chefno編集部です。

まだまだ終息が見えない、新型コロナウイルス。
この時季から、風邪やインフルエンザも流行し始め、さらにコロナとの合わせ技でますます外出を控える方も増えてきそうですよね。

昨年から、コロナの影響で急速に時代が変化しはじめ、試行錯誤しながら店舗運営されているベーカリーも多いはず。
コロナ流行以前からも、働き方改革や、人員不足、フードロス問題などなど、お店で抱える課題は山積み。

どれも解決したいけれど、何から着手すべきか…

頭を抱えているベーカリーの皆さん!
『パンの自動販売機』があなたの悩みを解決してくれるかもしれませんよ。

実は、様々な可能性を秘めている自販機。
製菓製パン業界以外の飲食業では、コロナや海外での自販機需要の影響が後押しし、自販機導入が注目されてきています。

そんな中、岡山にある老舗ベーカリーが自販機を導入し、ベーカリーで抱える課題を解決されたとの情報を入手!

自販機でパンを販売して何が解決できるの!?

駅のホームやオフィスビル内で大手ベーカリー企業が設置する販売機を見る機会はありますが、まだまだ個人ベーカリーでの自販機導入事例は数少ないと思います。

では、導入するとどんなメリットがあるのか、5つのメリットをまとめてみました。

①非接触販売

②人手不足

③フードロスの軽減

④営業短縮しても売り上げUP

⑤お店が無くても出店可能(新たな販売のチャンス)

とこんなにメリットがいっぱい。
実際に自販機を導入された老舗ベーカリーの「トングウ」さんにそのメリットについて詳細をおききしていきましょう。

岡山県総社市の老舗ベーカリー「トングウ」が考えた、新たな販売の一手は『パンの自販機』でした

株式会社トングウ
代表取締役社長 吉田 宣弘さん

●About Shop
パンの街としても有名な岡山県総社市。
大手メーカーの工場から人気のベーカリーまで、多くのパン屋がしのぎをけずる激戦区で創業90年以上続く、街で一番古いベーカリー「トングウ」。
市内だけでなく県外からも来店客が押し寄せる人気店です。
総社市民にとって学校給食としてもトングウのパンを食べている方も多く「ソウルフード」と言っても過言ではないです。
その中でも大人気の1日1600個以上売れる通称「油パン」を筆頭に、どこか懐かしい袋入りのパンから洋菓子まで、種類は100種以上。
地元の、飲食店などとも積極的にコラボをし、今なお新商品が増加中です。
「1日1品を試作する」というスローガンのもと、トングウの挑戦は今もなお衰えない。

老舗ベーカリーが自販機を導入されたというのが意外でした。そのきっかけは

自販機は、今年の1月に店の前に設置したんじゃけど、設置した理由はやはりコロナの影響が一番大きいですね。
あの頃はお客さんも、私ら販売側も対面での販売に気を使っとったと思います。

▲ベーカリートングウの店舗外観。入り口横にパンの自販機が設置されている

そんな時に、もし時短営業することになっても、非接触でパンを売ることができる自販機を置いてみたらどうかなと、思い付きで初めてみたの。
今もそうやけど、周りにこんな自動販売機置いてるお店もなかったから、予想以上にえらい反響があったのを今でも覚えとるね。
行列までできて。

でも実は、非接触での販売ということ以外にも、自販機を導入した理由は色々あるんやけどね。

コロナ以外の理由で、どんなことが理由になったんですか

そらー、「人手不足」かな。
今のベーカリーなら、みんな抱えとる問題やと思うよ。
実は、数年前に大手企業がこの街に支店を構えたり、ショッピングモールができたりしたんよ。
そうなると、その会社に勤める会社員が都市部から引っ越してくるでしょう。
そこで何が起こるかと言うと、その人たちの給与水準に合わせるため、アルバイトやパートの賃金があがるわけよ。

その時は、平均の時給1500円は超えとったとかな。
あれは辛かったな。

うちはそんなお給料の設定にしとらんかったし、そら求人してもなかなか来んわね。

でもその逆境がむしろ良かったのかもしれんね。
その頃から効率を考えて新しい機械を入れたり、製造工程の見直しをしたり、いろいろと試行錯誤しはじめたの。
製造だけじゃなくて販売も同じで、どうすればいいか考えたよ。作ったパンは売らんといけんし。

人手不足で、販売するスタッフがいないなか、自販機は一人の販売員になってくれるからね。

そらー、助かるわ。
だって商品を補充しておけば、あとは販売機に任せるだけやもんね。

効率という意味では、フードロスの削減にも役立っとるよ。

確かに!お店で売れ残ってしまったパンが自販機で販売できますね


フードロスって、飲食業界の永遠の課題じゃないかな。

もちろん、長年の経験から、お客さんの数が多い曜日や、天候による来店数の上下は見極めとるけど、実際、商品を買うてくれるんはお客さん。
なのでお客さんが、今日パンを買いたいと思うのは、その日によって誤差はあるかな。

かといって、製造のみんなが頑張って作ったパンを廃棄するのは、申し訳ないからね。
でも自販機でそのパンを売れば、営業時間外でもパンは売れるからね。

実際、この経験からフードロスと言うのがあまり怖くなくなって、営業時間も短縮することができたんよ。

まさかの営業時間短縮ですか!?売り上げに影響しないんですか

今までは、7時~21時やったのが、いまは8時~18時に変更したんやけど、自販機が頑張るから影響はでてないんよ。

お店の近くにJR総社駅があって、通勤・通学の利用者も多いんやわ。
しかも、駅前にコンビニがないという好条件で、朝・晩はその利用者の需要があるんよね。
終電近くに帰ってきても、お店の前で煌々と自販機の明かりがついてて、夜食にパン買って帰ろうなんてこともあるやろし、朝早くに、ジョギングや犬の散歩ついでに買う人もおるけんね。

なんやかんやと、店が開いてなくても、自販機が売ってくれてるね。

▲自販機販売時間外でしたが、特別に稼働いただき購入した上あん(通称油パン)

お客さんにとっても良かったと思うし、働く従業員の負担も減って、一石二鳥やと思うよ。
だって7時にパン売り始めようとしたら、朝の2時、3時に製造が当たり前やったもんね。
それが、4時半~5時でも今は間に合うから、働き方改革にも貢献しとると思うよ。

何か、自販機って色々な可能性を秘めてますね

秘めてると、思うよ。
自販機設置をしてから、JRさんから駅構内で自販機設置してくれへんかとか、物流センターで周囲にコンビニがないから、配送の運転手さん向けに、自販機設置したいとか、色々オファーが来とるしね。

設置場所や許可さえ取れれば、何千万もかけて2号店つくらんでも、自販機が支店になってくれるからね。

都心だったら、オフィスビルとかに設置できたら面白いんちゃうかな。

今は、配送ルートの問題で商品をどう補充するかもあって、まだ他の場所で自販機は設置できてないんやけど、使い方次第で、可能性秘めとると思うな。

自販機の設置って実際どれくらいの費用がかかるの!?

設置費用はどれくらいかかるんですか

それが思っているより高くないと思うよ。

機械はだいたい100万円前後。

うちは、常温販売のパンを自販機で販売しとるから、温度管理不要の自販機やけん安い方ちゃうかな。

温冷調整がついてると、冷媒機が付いているタイプになるから、恐らく150~200万円くらいはすると思うよ。

ランニングコストが意外と高いのでは

いや、そんなことないよ。

電気は、LED使っとるから、月¥3,000ほどやし。
それ以外にかかるとしても、保険代かな。そっちの費用の方が高いかもしれないな。

いまの所、へんな壊れ方しとらんし、そこまで日々のコストがかかっている気はしないな。

気になる自販機での売り上げはどれくらい

この自販機の稼働時間は、店が開いてない時間帯に稼働させとって、
夜18時から翌朝7時までの販売にしとるけど、売り上げの1ヶ月の平均は少なくて25万前後、多ければ、30万前後くらいにはなるかな。

価格はお店で売ってる値段より安くして120円に統一してるんやけど、この自販機はいちどに99個まで補充できるし、だいたいそれくらいの売り上げにはなるね。

▲自販機では全て120円で購入できるパン。少しお得に買えるのも魅力のひとつ

パートさん二人分の約1ヶ月の給料を、1台の自販機が営業時間外に売り上げてくれるのは、助かるね。

最後に、自販機を今後設置されたいと思っている方へ一言お願いします

これは、自販機のこと以外にも言えることやけど、迷ったらやってみることやね。

2店舗目出そうと思うと、何百万も何千万もいるけど100万前後でチャレンジできるけん。
自販機のおかげで、自販機設置のオファーが来たりと、思いもよらない所から商売に発展する事もあると思うしね。

うちも、地元で何十年もベーカリーをしてきた老舗やけれど、何もしなければ古い体質が残ったままで、従業員にとっても、お客さんにとっても時代のニーズにマッチせんかったと思うわ。

▲昔ながらの雰囲気が残る店内。しかし、日々進化をしているトングウ

もともと、何か思いついたらまずやってみようと思う性格じゃけ、気づいたら体が動いとるね。

従業員にとめられる事もしょっちゅうあるけど、チャレンジして得たものは財産になるけんね。

別に自販機でなくてもいいけど、一歩踏み出して何かを始めて欲しいなと思うね。

今ね、自販機を電気自動車に載っけて、移動販売できないか考えとるの。
電気自動車であれば、自販機もその電気使えるからね。

実現できるか分からんけど、こんなアイデアを話してると、面白いでしょ~

ベーカリートングウ
住所:岡山県総社市駅前1-2-3(GoogleMapで見る
TEL:0866-92-0236
☞公式サイト

※この記事は2021年7月に取材した内容になります

関連リンク

☞『ケーキ自販機が活躍!コロナ禍で売り上げに悩むパティスリーを救う』はこちらから

この記事をシェアする
Writer
chefno編集部
プロモーション担当兼エディター リョウ
chefno編集部
プロモーション担当兼エディター リョウ
運営サイトはこちら
WEB業界に10年以上従事して、現在はchefno編集部のプロモーション担当をつとめる。コーヒーが大好き!コーヒーに合うパンとお菓子を編集作業の合間に食べるのが楽しみ。車があればどこにでも取材に行きます!
1
ARTICLE
2022.03.15
フランスにいったら役に立つ!かんたんフランス語講座 第11回『味の感想』
chefno編集部
編集長&映像制作 コウヘイ
2
ペストリークイーン
ARTICLE
2024.04.16
パティシエールたちの情熱と創造の舞台「ザ・ペストリー・クイーン2025」国内選考会レポート
chefno編集部
編集長&映像制作 コウヘイ
3
犬型のクッキー
ARTICLE
2024.02.13
店舗を持たない運営。SNSから広がった犬モチーフのお菓子が話題「Maison terrier(メゾン・テリア)」
shiori icon chefno編集部
エディター兼ライター シオリ
4
chefno
ARTICLE
2023.11.07
開業を目指すパン職人・パティシエに読んでほしい 開業直前パティシエールが先輩パティシエールに本音で質問しました!【前編】
chefno編集部
パティシエール兼ひよっこライター ハルミ
無料会員を募集しています!
chefno®︎では、会員登録することによって、会員限定のコンテンツを視聴したり、 製パン・製菓のセミナー(無料・有料開催)に参加することができます。 ほかにもいろんな特典を考えております。みなさまの登録をおまちしています!