大阪では、有名店なパティスリーが数多く存在し、老舗から若手パティシエのお店まで幅広い。そんなたくさんのパティスリーがひしめく中で、他店とは一線を画すのが「ronen」(ロネン)。
2021年の6月にOPENしたばかりのお店「ronen」は、お店に流れる空気感が大阪の中でも温かみを感じ、並んでいるケーキのラインナップや見た目も“和”を感じる。今回はオーナーパティシエの西澤シェフに話を伺ってきた。
目次
和×洋。「日本人の口」に合う素材選びからこだわったお店
大阪・南森町。2021年の6月にOPENした「ronen」(大阪市北区)。和素材をテーマにしたお店で、店名の「ronen」 は漢字で「梠然 」。“和素材と洋菓子を合わせた、日本人の口に合ったケーキを作りたい”そんな思いを込めて和名にしているんだとか。また「梠」と「然」それぞれの意味も面白く…
梠 ro- 雨風や暑い日差しから守る ひさし の意味があり、お客様が雨宿りする様な感覚で気軽に立ち寄れるご近所に愛されるお店になれるようにと。
然 -nen 他の語に付けて、「そうなっている・そのとおりである」状態を表し 「庇の様な店になる」
そんな思いが込められていて、和の雰囲気を感じる外観と内観でありながら洋のテイストも感じられる空間のデザイン性。すっきりしていてモダンながらも、センスを感じられる。
まるで盆栽? 美しい見た目の独創的なケーキたち
ショーケースに並ぶケーキは、どれも他店で見ることのできないものばかり。まるで茶巾のようなモンブランを始め、たくさんのラインナップが並び、季節限定のものも多い。
水滴が今にも滴りそうな「禅」(ZEN)はシェフのスペシャリテで人気の商品なんだとか。ピスタチオのブリュレ、玄米茶のムースやソース、まわりにはクラッシュした抹茶クッキーとピスタチオをまとっている。
造形美にウットリしそうなケーキを作る西澤シェフを紹介する前に、本題のショートケーキを紹介しようと思う。
淡い色合いと、上に果物がのらないのに主役は「果物」である構成
通常はショートケーキといえば、上にフルーツがのっているが、この「ronen」のショートケーキは真っ白。色合いは淡く、まるで雪化粧をしたかのようなフォルム。
生地は、ほんわか甘くクリームもキレがよく、かなりさっぱり。中に入っているのは、取材した時期的に洋梨だった。上にフルーツがのっていないのに、中の洋梨の存在感がひときわ目立つように感じた。西澤シェフに、どうしてこのような見た目と構成にしたのか、伺うと……。
西澤シェフ「メインはあくまで“果物“です。ショートケーキに使う果物は必ず、旬のものを熟れた一番美味しいタイミングで使用しています。」
ケーキの層で主役級の活躍をする、厚切りフルーツがこだわり
西澤シェフ「そしてこだわりは、上にフルーツをのせていない分、中の層にあるフルーツは必ず“厚切り”にして作っています。
果物を活かすために、スポンジ生地はふんわりと軽く、生クリームは低脂肪であっさりと脂っこくならないように、すっきりとしたものを使用しています。最初から最後まで、果物を感じられるように考えています。
果物は味に個体差がありますが、それも果物の良さだと考えます。あまりコンポート等の調理はせず、品種を変えたりなど、色々な表情の果物本来の素材の味を楽しんで頂ける様に作っています。」
フランス菓子の伝統にとらわれない、美しいケーキの秘密
和素材を組み合わせるだけではなく、色合いやそのフォルムもフランス菓子をベースにしているというよりは、日本の良さを表現しているように思える。その意図を伺うと。
西澤シェフ「日本人の口に合ったケーキを作りたかったのが一番の理由です。自分自身がフランス菓子やイタリア菓子はあまり好んで食べる方ではなく、基本はあっさり・軽く・甘さ控えめな仕立てが好みです。あくまで作りたいのは、日本的洋菓子です。
日頃の食事で近く、慣れ親しんだ和食材をケーキに使うことで、驚きや予想外の味わいを出しつつも、どこか親しみや懐かしい味わいを感じて頂ければ嬉しいな、と思って和食材を洋菓子に掛け合わせる事にしました。
『心の満足感>満腹感』を大切にしています。」
そう話す西澤シェフ。最初はケーキ屋で、その後はカフェを経て、レストランで6年働いた経験を活かし、まるでデセールのようなケーキを生み出している。終始笑顔で、素敵な雰囲気とお店。地元の人も多く訪れ、早くも地域に密着しているようだ。棚にあった焼き菓子は、シェフの出身の高知の食材を使ったものも。食材選び一つとっても、シェフのこだわりを感じた。
●About Shop
ronen patisserie
大阪府大阪市北区松ケ枝町4−9 松田ビル 1階
営業時間:11:00~19:00(売り切れ次第終了)
定休日:月曜日+不定休