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2022.04.20

真っ白な苺「雪うさぎ」。オペラ座をイメージした「アツシハタエ」(代官山・用賀)の美しすぎるケーキの秘密

代官山そして用賀、高輪にお店を構える「Atsushi Hatae(アツシハタエ)」。2019年から6年連続でミシュランの星を獲得している「ドミニク・ブジェ トーキョ」のシェフパティシエとして務め、2019年に独立し、他のパティスリーでは見られないような、美しいケーキの数々を作り出しています。

数あるケーキの中でも、「Atsushi Hatae(アツシハタエ)」ファンが毎年楽しみにして買うのが、この季節にしか食べられない「雪うさぎ」。

真っ白な苺がかわいらしく、また見た目はこの美しい造形美です。波多江シェフに、このケーキの誕生秘話を取材してきました。

 

真っ白な見た目とは裏腹に、妖艶な香りを放つ

「雪うさぎ」は、使っている白い苺の品種がその名前の通り「雪うさぎ」。佐賀県で栽培され、幻とも呼ばれる苺で希少なだけではなく、価格も高価な苺となっています。市場では、なかなか見ることのできないこの「雪うさぎ」をベースにしながらも、複雑な香りをまとっています。

まず上にのって見えるのがハイビスカスで香りをつけた「ガナッシュモンテ」。メレンゲに見える方もいるかもしれませんが、ベースがホワイトチョコレート。バニラとハイビスカスの香りをつけていて、口どけもよいのが特徴的です。

波多江シェフ「バニラだけですと、香りがやわらかく全体の印象がぼやけてしまうので、白苺の持つ繊細な香りを更に華やいだ印象にするために、香りの相乗効果を狙ってハイビスカスの香りをつけました。」

 

複雑な土台から感じる、香りのマリアージュ

昨年度とは異なり、今年は土台部分がブラシュアップされ、パートシュクレに、アーモンド、カシスとフレーズ・デボア、さらにラズベリー、フランボワーズを合わせて華やかに。

フォークを入れてサクッと美味しそうな音が。口に含めば食感が面白く、甘酸っぱい様々な香りが、複雑な階層で混じりあいます。

 

特別なお菓子、特別な瞬間を

この「雪うさぎ」、1つで1200円。高いと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、「雪うさぎ」自体がかなりの高単価で、そもそもこの美味しさで販売されているのが奇跡に近く、都内のパティスリーでもあまり見ることができません。どうして、この「雪うさぎ」を作られたのか、波多江シェフに伺いました。

波多江シェフ「もともとケーキは、お祝いの時に食べるなど、特別な時に食べるもの・買うものだと思っています。そんな“ハレの日”に選んでもらえるような“記憶に残る特別なケーキ”を目指しています。

そんな中でも果物って何かしら品種が年々増えていて、苺の品種も無限にあるぐらい、いっぱいあります。そのときに日本人がわかりやすく、好きなものをと考えた時に苺を使った特別感のあるものを考えたいと思いました。

そこで果物屋さんに相談して、地方で作られている特別な苺はないですか?と聞いて紹介してくれたのがこれでした。

最近は白い苺やピンクの苺も何種類か見かける様になりましたが、それらとは圧倒的にクオリティの違いを感じてこの苺を使って何か作りたいって直観的に思ったんです。パティシエの仕事は加工の先にある美味しさを追求する事だと思ってますが、雪うさぎは繊細な味なので加工することなく最大限生かせるケーキにしようと考えました。

雪うさぎの価格はネットとかで調べてもらえば直ぐにわかりますが、高級なレストランでは使えますが、とてもケーキ屋で使えるような価格ではないです。その為ビジュアル的にも何処にも無いものにしなくてはと思い、神殿をイメージし、白い苺を主張するために、ビジュアルは全体的に白くなるように味の構成を考えました。」

 

美しい見た目のヒントはパリの「オペラ座」

クリエイティブな見た目のヒントには、波多江シェフが住んでいた場所に近かったというパリのオペラ座「オペラ・ガルニエ」。波多江シェフのルーツであるオペラ座の神殿をイメージしているそうで、お店のモチーフもそこからインスピレーションを得ているんだとか。

 

●About Shop「Atsushi Hatae
用賀店」
東京都世田谷区玉川台1丁目5−3 グレース玉川台 101
営業時間:11:00~19:00
定休日:月曜日(月曜日が祝日の場合は翌営業日が休みとなります)
※不定休で休みになる場合があります。営業日はあらかじめご確認ください。

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