2019年4月にオープンした「無印良品 銀座」内にある「MUJI Bakery」。首都圏では銀座店のほかに東京有明店と横浜の青葉台東急スクエア店の3店舗、関西圏ではグランフロント大阪店と堺のイオンモール堺北花田店の2店舗、合わせて5店舗を展開するなど大きな広がりを見せています。
店内で焼き上げたオリジナルのパンを提供している本格派ベーカリーで、銀座店では朝早くから買いに行くお客さんも多く訪れます。今回はMUJI Bakery銀座の森さんにお話を伺い、無印良品が目指す美味しさの先となぜベーカリー展開を進めているのか取材させていただきました。
目次
“焼きたてのパンをより多くの人に食べてもらい、豊かな食生活を送っていただきたい”という想い
Q. 現在様々な分野の商品を手掛けている良品計画ですが、その中でもパンという分野はとても手間や設備も必要になってハードルが高いと思いましたが「MUJI Bakery」をなぜ作ろうと思ったのでしょうか?
森さん:「無印良品の根本にある方針が”社会や人の役に立つ”です。食生活において、毎日提供できるものといえばパンが代表的だと思いますが、焼き立てのパンをより多くの人に食べてもらい、豊かな食生活を送っていただきたいという想いから『MUJI Bakery』が始まったと思っています。食という分野で、パンが人気だからということではなく、パンがより生活に根づいたものであることから力を入れています。」
「銀座特有ではありますが、同じ建物内の『MUJI HOTEL GINZA』との連携というところも念頭に置いたうえで、ベーカリーのパンを朝食として楽しんでもらいたいと思い、朝食プランというのを打ち出し、宿泊したお客様に提供させていただいています。
各方面から来られるお客様に”無印良品もパンに力を入れているんだ”と知ってもらいたいです。」
販売するパンはシンプル。みんなが知っているベーシックなパンに絞る理由
Q.「MUJI Bakery」では国産小麦など、国産素材を使う無印良品のブランドと目線は同じかと思いますが、改めてこだわりについて教えてください。ブログでもオーバーナイト製法など、発信されているのを拝読しました。
森さん「材料は国産小麦を使い、添加物は最小限に抑え、シンプルな配合を考えています。オーバーナイト製法で湯種をつかったパンを作っています。粉の配合からすべて無印良品のオリジナルで作っています。
見て分かる通り、パンの種類をたくさん並べすぎないことには理由があります。
ターゲットを絞るのではなく、幅広い色々な世代の方に食べてもらえる、ベーシックでシンプルなパンを作っています。種類をたくさん作るというよりは皆さんに愛されている代表的なパンですね。
毎日食べたくなる、食べ飽きないシンプルで焼きたての味を銀座で楽しんでほしいです。」
今おすすめしたいパンって?
Q.現在販売されているパンの中でも、今おすすめしたい商品があれば3~4点教えてください。
森さん:「1番は『ロールパン』です。オープン当時からMUJI Bakery の代表アイテムとして販売していて、人気ナンバー1商品となっています。90円という価格が手に取りやすく、毎日買って行かれる方も多いんですよ。
2つめは『カレーパン』。無印良品といえばレトルトカレーが人気アイテム。そこでMUJI Bakeryオリジナルのカレーフィリングを作りました。10種類のスパイスを使っていますが、あまり辛くなく子どもでも食べやすい味となっています。ひき肉は大きめにゴロゴロと入れたこだわりのキーマカレーです。
カレーフィリングは一緒ですが、銀座店では焼きカレーパン、東京有明店では揚げカレーパンとお店によって仕上げを変えています。」
「3つめは『食パン』。基本のパンですね。ジャムやバターをつけてもいいですし、野菜やハムなども挟んでもいいですね。いろいろな食べ方ができるところもおすすめです。」
森さん「最後は『あんクロワッサン』。無印良品の冷凍食品でも販売しているのですが、MUJI Bakeryではオリジナルに改良しました。生地に餡子を混ぜ込み、焼き上げています。カリッとした食感をだすために、表面にケシの実をまぶしているんです。
多いときは1日に約150個売れます。
あんことバターの何とも言えない、あまじょっぱさがおいしいんです!」
「無印良品の世界観を感じてほしい」
Q. 銀座の店舗で、ここまで大きく「MUJI Bakery」を開いた理由はございますか?
森さん「無印良品の旗艦店なので、無印良品の世界観を感じてもらえたらと思ったんです。ホテル・ショップ・ダイナー・ベーカリーがある銀座は一度に色々と見られるので、銀座店のオープンをきっかけに「MUJI Bakery」の展開を始めました。」
職人たちの提案で、季節ごとに変わるラインナップの美味しさ
Q.新作のパンはどのペースで出されていますか? また新作はパン職人さんがレシピを作るのでしょうか?
森さん「3ヶ月に一度、季節ごとに変わります。旬のフルーツを使ったデニ
ッシュなどを作ります。提案は5店舗の各職人からもらっています。職人はもともとパン屋さんで働いていた方が多いんですよ。本部で一律でメニューを決めるのではなく、各店舗の職人と本部で検討しながら開発しています。」
店舗によっては地域とつながって開発しているところもあり、関西では地元野菜
の「難波ねぎ」を使った商品が販売されています。
「銀座店には1階に青果売場があり、各地域の野菜や果物を中心に仕入れているので、ベーカリーでは青果売場で売られている商品を使ったパンも販売しています。パンではどういう味わいなのか、食べてもらって気に入ったら次は使われた商品を買おうという連携ができるのが銀座店の魅力だと思います。」
無印良品が向かう先に“地域との繋がり”
Q.最近ですと、近くにある銀座木村屋さんとのコラボ商品があったり、面白いなと感じました。今後はどんなパンを、そしてパンを通じて何をお届けしていくのでしょうか?
森さん「先ほど難波ねぎを使ったメニューの話をしたように、全国の生産者さんとつながっていく、地域につながることをしていきたいと考えています。地域の食材を使ったカレーであったりメニューも増やしていけたら。実際にポップアップストアとして、地方でMUJI Bakeryとして販売もしました。ある種街おこしのような取り組みとして、食と生活を結ぶところで大切な役割を果たせたらと思っています。銀座木村屋さんとの取り組みも銀座というくくりでは街おこしの一つだと思います。」
「銀座の商店などと連携して、銀座の街全体を盛り上げようと地域とのつながりを大事にしています。」
今回、取材を行って「MUJI Bakery」のパンはシンプルでありながらも日常に溶け込むパンだということが伝わりました。食パン、カレーパン、メロンパン、あんぱんなどどこか懐かしくなるパンが並んでいて飾りすぎてなく親しみやすいです。
また、”パンが人気だからベーカリーをやるわけではない”という言葉が無印良品らしいと感じました。ぜひ銀座に来たら足を運んでみてください。
●About Shop
無印良品 銀座(MUJI Bakery)
東京都中央区銀座3丁目3-5
営業時間:11:00~21:00 (MUJI Bakery 平日 7:30~21:00/土日祝 10:00~21:00)