こんにちは。
ここフランスも新しい年を迎えました。
日本の皆さまにとっても、希望に溢れる一年となりますよう心からお祈り申し上げます。
フランスの大晦日は日本に比べてとってもあっさりしており、
新しい年明けを知らせる鐘がなると同時に「Bonne année(あけましておめでとう)」と人々は繰り返し、隣にいる友人とワインを片手に乾杯してごく自然に年の初めを迎えるのがフランス流です。
例年でしたら互いにビズ(頬にキスをし合うフランスの挨拶)をし合いますが、昨年からCovid-19の影響でそれも無しです。
10代~20代の若者は元旦の朝の8時頃まで踊り・飲み明かすのが彼らのお決まりらしいですが、30代後半の私はさすがについては行けず2時には帰路につきました(笑)
さて、フランスでは年末年始の長期休暇はほとんど存在せず(特にパン屋さんをはじめとする飲食店)、年末まで通常通り営業しております。
また、年明け早々から営業を再開していましたので、普段の週末とさほど変わらない印象でした。
というわけで、「私も年明けすぐに行動せねば!」と思い立ち、ロワール地方にある製粉会社に行ってきました。
今回訪問したのは、Minoterie Girardeau (ミノトリー ジラードウ)という製粉会社さんで、以前ブーランジェ通信Vol.4でご紹介したベロ・ミノトリー製粉会社と同様に、大規模で現代的な製粉工場を構えています。
同社に行った目的は、
ブーランジェ通信Vol.4で記載した理由と同じく、フランスでパン屋を開業するには製粉会社とタッグを組んで物件探しからお店づくりまでを進めていく事が一般的なので、その為の関係構築が主な目的になります。
関係構築する上でも同社の取り組みを理解したいと思い、製粉の工程を見学させていただく事になりました。
実はこの会社は、インダストリアルな工場のすぐ側にある川沿いに、「Minoterie Suire(ミノトリー スゥイール)」という名前の石臼挽き製粉工場も併せ持っています。
この工場での製造見学が、小麦粉に携わるパン職人の私にとって心躍るとっても素敵な体験でしたので、今回は、その工程の一部をご紹介したいと思います。
工場を訪れると正面入口には会社のロゴが描かれた大きな看板が。ロゴ右下の緑色のマークは、BIO(オーガニック)製品であることを証明するマークです。
まず目に飛び込んできたのは、石臼挽きに使われている大きな石です。
石臼の石をじっくり見たことがなかったので、非常に大きくてびっくりしました。
このデコボコした部分で、小麦を挽いていくんですね。
更に工場の中へと進むと、小麦粉のとても良い香りが工場内に広がっていました。
目の前では、工場内に張り巡らされたパイプから、石臼に投入する前の小麦がどんどん流れていきます。
先ほどの正面入り口にあったビオのロゴの通り、こちらの工場で使用される小麦は、全てオーガニック栽培された物を使用しています。
そして、工場内を見て感じたのが、木を使用した機械が多いこと。
今回案内をしてくれた工場責任者であるファブリスさんに、なぜ木を使用した機械が多いのかをお聞きすると、木のぬくもりを感じながら愛情をこめて製品を製造できるような雰囲気の工場にしたかったからだそうです。
確かに木の香りと、小麦粉のいい香りで癒されますね~。
香りに癒されつつ、製造機械をじっくり見ていると、小麦を石臼に投入している部分(下の写真)に馬のデザインが施されている事に気付きました。
なぜ馬のデザインなのかを聞いてみると、
古い歴史の本に、石臼が回っている間に聴こえてくる小麦を砕く音が馬の駆け足(ギャロップ)に似ていると書かれていたらしく、素晴らしい表現を忘れてはいけないと言う想いから、この工場をはじめとするフランス各地にある石臼製粉所で『馬』のモチーフが使われるようになったということです。
その話を聞いた上で、稼働する機械を見ていると、単なる製造機械という感じではなく、どこか芸術作品を見ているような気分にさせてくれました。
その馬のモチーフと共に石臼がゆっくり動き、小麦粉となっていくんですね。
この工場の隣にある、いかにもインダストリアルな雰囲気の工場とは全く異なり、手作り感を感じられる製造工場でした。
このように、大切に製造された小麦粉を使ってパンを作ることを想像すると、ワクワクしてきました!
そんな興奮をおさえつつ、工場を後にした新年の始まりでした。
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