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2022.03.30

デザイナーから販促を学ぶ! 前編『お店の属性を理解するとコンセプトが伝わる!』

BROWN Inc. 代表取締役
玉木 洋志
百貨店系の広告制作会社勤務、デザインプロダクションなどを経て、株式会社BROWNを設立。
ブランドロゴや、店頭サインなどの販促ツール、Webサイトや広告を制作する会社です。
デザインを通して人の心に残るお仕事に奮闘中。
京都芸術デザイン専門学校非常勤講師。
2020年10月より大阪・中津に展示スペース「medium」をオープン。
祖父母が、地域に根差したベーカリーを経営していたこともあり、パン作りの裏側を幼少の頃の記憶として今も頭に刻み込まれています。
運営サイトはこちら

皆さんこんにちは!

「デザイナーから販促を学ぶ」の担当をします、デザイン会社BROWN Inc. 代表取締役の玉木です。
今までのデザイン制作やプロデュース経験を生かし、販促方法について解説していきます。

パティスリーやベーカリーのコンセプトは、店舗によって様々。
外観からショーケースまでカラーを統一しているお店もあれば、あらゆる商品が雑多に並んで、お菓子やパンは美味しそうなのに、どこか統一感に欠けているお店もあります。

では、自身のお店はどうなんだろう??と感じたことはありませんか?
ということで、普段から店舗やパッケージのデザインを行っているデザイナーの視点から、お店に対する考え方や、人気店になるための“コツ“をお教えします!

 

お店の“属性を意識してみる


店舗デザインからショーケースにいたるまでカラーに統一感のある店とない店、それは様々だと思います。
実際にお客様に「なぜこのお店が好きなの?」と問いかけをしたらなんと答えるでしょう。
「パンやお菓子が美味しいから」
「お店が綺麗だから」
「雰囲気がいいから」
「スタッフがいい人だから」
と様々な回答があると思います。

「パンやお菓子の美味しさ」は、デザインですぐに解決できる課題ではありませんが、「お店の綺麗さ」「雰囲気の良さ」などは、デザインの領域で質を高めることが可能です。

何となく来店されたお客様が、肌で感じる「良さ」は、根拠なく作られるものではありません。
トレンドや地域、ターゲティングなど様々な要素が絡み合ってお客様にとっての「良さ」につながります。

この様々な要素を理解した上でお店を作っていく、運営していくことは非常に大事なポイントになると思います。

 

そもそもデザイナーがデザインをするときは、最初にどんなことをするの?

デザインの仕事をしていると、書体やカラーは常に課題になりますが、お客様との打ち合わせで「いまのトレンドが何色だから」というような提案をすることはまずありません。
書体にしろカラーにしろ、何かを決めるときには必ず「理由」があります。
どんなにカッコよくても、明確な理由やルールがない状態でデザインをすると、お客様にお店や商品のコンセプトがうまく伝わりません。
これでは単なるデザイナーの自己満足になってしまいます。

デザインにおいては、お店の看板やチラシなどの情報が、お客様がお店に入られた時の感覚とリンクすることが大切になります。
そうした明確な目的を持ったデザインを作るうえで、とくに重要になってくるのが、そのお店や商品の「属性」を考えることです。
この場合の「属性」とは、お店の立地や地域の客層、周りにどんな競合があるか、というようなことを指します。

どういった場所や人、ニーズがあるのかを理解してデザインすると、お客様にお店や商品を理解してもらうまでの道がグッと近くなります。
以下は、属性を理解してお店や商品に個性を出すまでの流れ(上から下)を表した図です。

この流れが反対(個性から属性へ)になると、「商品からコンセプトを決める」という流れになり、個性は出せますが、根拠のないデザインとなります。
その結果、地域特性や客層とのギャップが生まれ、自身では満足した店づくりになっていてもお客様のニーズにはマッチしない、という可能性があります。

 

属性理解から個性へつなげるために知っておきたい5つの理解

①地域を理解する
例えば、
高齢者の多い町で、いまどきのトレンドワードを使って宣伝をしても効果は薄いでしょうし「インスタやってます!」と言っても見てくれる人はきっと少ないでしょう。
ほかには、すぐ近くに似たようなコンセプトのお店があるのに、同じようなお店を作ってしまったり。

このように、お店を出すときには、その地域や周辺のお店、ユーザ層とその生活スタイル(人の流れや所得状況)までも理解しておくことが重要です。

②お店を理解する
地域をよく理解したうえで、その場所で「○○なお店」というふうに「どう見られたいか」ということを明確にして、お店の外観をイメージしていきます。

③ショーケースを理解する
じっさいに商品が並ぶショーケースは、物理的にお店の商品にもっとも近い場所になります。
お客様が商品にたどり着くまでの流れは「地域→お店→ショーケース→商品」となりますので、属性から個性への流れを意識しながら、どんなショーケースにするかを考えます。

④商品カテゴリーを理解する
どういうカテゴリーで商品を並べるか、しっかり検討しましょう。
伝えたいお店のコンセプト・個性がちゃんと伝わるか、お客様の行動を分析し、トライアンドエラーを繰り返しながら、伝わりやすい最適の陳列を見つけてください。

⑤商品の理解を促す
扱う商品がデイリーなものであればあるほど「その商品がどんな物か」をスムーズに伝えることを考えましょう(商品の見た目や商品名など)。
パティスリーの場合はベーカリーと違って嗜好品に近い商品ですので、非日常な見せ方でもいいかもしれませんが、ベーカリーの場合は、日常的に利用してもらえるのが望ましいので、その点を考慮する必要があります。

商品自体のデザインが個性的であることは良いことですが、個性が強ければ強いほど、見た目からは「その商品の意図」が伝わりにくくなります。
お客様が「分からないから手にとらない」となる前に、その商品がどんな物かを理解してもらえるような表示(POPなど)が必要になってきます。

 

 

次回、後編では今回のお話を踏まえた上で、ショーケースについて考えてみたいと思います。

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BROWN Inc. 代表取締役 玉木 洋志
BROWN Inc. 代表取締役 玉木 洋志
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株式会社BROWN代表。 ブランドロゴや、店頭サインなどの販促ツール、Webサイトや広告を制作を行っています。
主な実績
・T by Laduree(神戸)
・大和蒸溜所(奈良)
・小浜おはぎ研究所(宝塚)
・あずや(東京)
・マンドリルカレー(神戸)
・UHA味覚糖(大阪)
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