毎朝、生地の状態を見て、粉や水を調整しながら焼き上げるパン。そのこだわりが、お客様にちゃんと伝わっているだろうか?実は今、「味は好きだけど…」と、理由を言わずにそっと離れていくお客様が増えています。その理由の多くはパンではなく、接客にありました。
今回は、312 人の主婦へのアンケートから見えてきた、「また来たくなる」「もう来たくなくなる」パン屋の“接客のリアル”をお届けします。あなたのパンを、もっと愛されるパンに。最後の“ひと仕上げ”は、お客様との向き合い方にありました。
アンケート対象 パン好き消費者 999人
月に1回以上パンさんに行くパン好き女性 312人に追跡調査を実施しました。
調査実施日:2025年12月
調査方法:インターネットリサーチ
調査元:株式会社グローアップ
目次
「味が良ければ、また来てくれる」は本当か?
主婦312人に聞いて見えてきたのは、「味に文句はない、でも行かなくなる」というリアルな声。あなたのパンに、もうひとつ“仕上げ” があるとしたら、それは、接客かもしれません。




お客様が見ているのはパンの味だけではない!
パンの味には絶対の自信がある。だからこそ、再来店してもらえるかどうかはパン次第。そんなふうに考えてはいないだろうか?しかし、主婦312人に聞いたアンケート結果から見えてきたのは、思わず背筋が伸びるリアルな声だった。
「接客に不満を感じて、そのパン屋に行かなくなったことがある」と答えた人は、実に50%以上。さらに、「味や価格には満足していても、接客に不満があれば他店に変えることがある」と答えた人も、4割を超えた。
つまり、パンには非がないのに、接客でお店が選ばれなくなるという現実が確かにあるということ。しかも、問題なのはこの不満がパン屋側に届きづらいことにある。
実際、「不満を店に伝えたことがある」と答えた人は、わずか2割にも満たなかった。一方で「不満があっても言わない」と答えた人は41.7% と、約3人に1人以上。つまり、何が気に障ったのかが見えないまま、お客様は静かに離れていくのだ。これこそがサイレントクレーマーの正体であり、パン職人にとっては非常に見えづらい落とし穴とも言える。
では、実際にお客様は接客の何が気になるのか?アンケートで目立ったのは、「スタッフが無愛想だった」「清潔感がなかった」「並んでいても放置された」「スタッフ同士のおしゃべりが気になった」など、パンそのものの品質とは無関係な、ほんの少しの違和感の積み重ねだ。どれもお客様の買う空気に影響を与える、小さくて、けれど確かに存在するポイントたちだ。
では、私たちはそうした不満にどう向き合えばいいのか?ここで見逃してはならないのが、「わざわざクレームを言ってくれる人」の存在だ。確かに、時に理不尽な声や過剰な要求もあるかもしれない。しかし、その一方で「もっとこうだったらいいのに」と思ってくれるからこそ、あえて声に出してくれる人もいる。
クレームは、受け止め方次第で成長のヒントにもなり得る。何も言わずに離れていく人よりも、何かを伝えてくれる人は、お店への期待や愛着を持っている人かもしれないのだ。
パン作りと同じで、接客も日々の積み重ねで熟成されていく。だからこそ、味の仕上げにこだわるように、接客にも、もうひと手間かけることが、「また来たい」と思われるパン屋につながっていくのではないだろうか。
必要なのは、第一に挨拶、さらに“安心・丁寧・気配り”の3本柱
最高のパンを焼いても、“伝わり方”ひとつで、印象は変わる。パンの魅力をもっと届けるための「接客のあとひと手間」、一緒に見直してみませんか?



日頃から気を付けておきたいポイント3 選
「いつ」「誰が」見ているか分からない意識を持つ
店内での何気ない接客も、お客様の記憶や口コミの中では“評価される接客”になる。 「今この接客が、次のお客様を左右するかもしれない」という意識を持とう。
「接客は全員でつくる空気」と心得る
一人だけが気をつけていても、他スタッフの印象が悪ければ、お店全体の評価に影響する。 現場全体が「お客様から見えている」という感覚を共有することが大切。
目の前のお客様=次のお客様の“ 案内役” になる
今日接客しているこの人が、SNSやクチコミで「また行きたい」「もう行かない」と発信するかもしれない。一人ひとりのお客様が“未来のお客様”を連れてくる存在になる。
必要以上に怖がらせる必要はありません
お客様の口コミやレビューは、良くも悪くも接客の印象を伝えてしまいます。だからといって従業員を必要以上に接客に対して、“びくびく”させるのは良い接客とは言えません。教育する立場の方にできるのは、「自分らしく、のびのび、でも丁寧に」接客する空気を育てることです。
お客様も従業員も同じ空間にいることが心地よいお店へ
「接客」は、売り場に立つスタッフにとっても、オーナーにとっても、決して“気軽”なものではありません。ましてや、SNSやレビューにまで接客の印象が影響するとなれば、委縮してしまう従業員がいても不思議ではないでしょう。けれど大切なのは、「評価されるから丁寧に」ではなく、「信頼されるから丁寧に」という意識です。
お客様が接客に求めているのは、完璧なマニュアル対応ではなく、ほんの一言の声かけや、気配りから感じる安心感と人らしさ。実際にアンケートでは、「挨拶」「丁寧な会計」「衛生的な印象」など、小さな所作がまた来たくなる理由になっていました。
つまり接客は、お店にとってもうひとつの商品。自慢のパンを支える最後の仕上げが、レジや売り場で交わされる会話や笑顔なのです。オーナーや教育をする立場の方ができることは、スタッフに「ちゃんと見てもらえている」ことをポジティブに伝え、委縮させずに誇りを持たせること。
「完璧じゃなくていい」「いつものあなたらしさに、少しだけお客様の目線を添えてみて」と、背中を押すような言葉がけが、接客の空気をつくっていきます。店の中にある空気感は、パンと同じようにお客様に伝わります。そしてそれが、次の「また来たい」に繋がるのです。
chefno編集部