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2026.06.09

ベルギーからつづる!ブーランジェ通信 by若杉あかね Vol.5「ベルギーのイースター」

みなさん、こんにちは!
ベルギー生まれの日本人ブーランジェの筆者が、ベルギーの文化やパン事情についてお届けしているこの連載。第5弾となる今回のテーマは、「イースター」です。 

ベルギーでは、春になるとお店のショーウィンドウや店内が、卵の形やうさぎの形をしたディスプレイで華やかに飾られます。
これは、「イースター(復活祭)」というキリスト教の祭日にちなんだものです。イースターはイエス・キリストが処刑された三日後に復活したことを祝う日で、キリスト教徒にとって非常に重要な意味を持つ祝日です。ベルギーは伝統的にカトリックの影響が強い国なので、イースターの時期は家族で過ごす大切な時間として、多くの人々に親しまれています。 

通りを歩いているだけでも、あちこちのお店が明るく彩られ、冬の終わりと春の訪れを感じることができます。特にチョコレートショップやパティスリーでは、色とりどりの卵型チョコレートがずらりと並び、見ているだけで心が弾みます。思わず足を止めてしまうような華やかなショーウィンドウは、この時期ならではの楽しみです。 

チョコレート大国として知られるベルギーでは、イースターに向けたチョコレートにも特別な情熱が注がれています。この時期に並ぶ商品はどれも繊細で、まるで芸術作品のような仕上がりです。お店ごとにデザインや色使いが異なり、それぞれに個性が感じられます。「これ、本当に食べてもいいのかな」と思ってしまうほど美しいものも多く、選ぶ時間さえも特別な体験に感じられます。



また、イースターといえば「エッグハント」が欠かせません。庭や公園などに卵型のチョコレートなどを隠し、それを探して集める遊びで、子どもたちにとってはまるで宝探しのようなイベントです。どこに隠されているのかわからないので、みんな夢中になって走り回りながら探します。私自身も子どもの頃、学校や家で何度も体験し、そのたびにワクワクした気持ちになったことをよく覚えています。

このように、ベルギーのイースターは宗教的な意味合いだけでなく、春の訪れを楽しみ、家族や身近な人たちとゆったりとした時間を過ごす機会でもあります。街全体がどこか明るく、やわらかな雰囲気に包まれるこの季節は、特別な魅力にあふれています。 

 チョコレートの芸術祭「Bel Œuf」 

2023年からブリュッセルでは、イースターの時期にあわせて「Bel Œuf(ベルウフ)」というイベントが開催されています。このイベントでは、ベルギー国内の一流ショコラティエたちが、チョコレートで華やかなイースターエッグ作品を制作します。
「Bel Œuf」とは直訳すると、「美しい卵」という意味。その名にふさわしく、芸術作品のように繊細で美しいイースターエッグが、ブリュッセル中心部のホテルロビーに展示されます。 

プロの作品を様々な角度から間近で鑑賞できる、貴重な機会となっています。会場には、ベルギーで活躍する多くの有名ショコラティエの作品が並びますが、ここではその中から4名のショコラティエによる作品をご紹介します。 

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▲マルク・デュコブ氏の作品

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▲ニコラ・アルノー氏の作品

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▲タンギー・コーリス氏の作品

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▲ブリュッセルで自身の名を冠したパティスリー兼ショコラトリーを営む日本人パティシエ佐々木靖氏の作品

毎年テーマが設定されており、2026 年のテーマは「動きの快感」でした。約 40 人のショコラティエが参加し、車や電車、飛行機といった「移動」に関するモチーフをもとに、それぞれ独創的な作品を制作しました。細部に至るところまで丁寧に作り込まれていて、「本当にこれがチョコレートでできているのだろうか」と驚かされるものばかりでした。近くでじっくりと見ることで、その技術の高さや表現力の豊かさをより実感することができます。  

さらに、このイベントの魅力は、美しさや楽しさだけにとどまりません。展示された作品はその後販売され、その売り上げはチャリティーとして寄付されます。寄付先はその年によって異なりますが、子どもや医療を支援する団体に使われることが多く、社会貢献にもつながっています。一流作品を制作するショコラティエにも、それを購入してもらい楽しんでいただくことで誰かの助けになるという意義は大きいのでないでしょうか。職人として日々技術の研鑽に励む私にとっては、この点もイベントの大きな魅力のひとつだと感じました。 

 オープンキャンパスの一日 

また、4 月から 5 月にかけてはオープンキャンパスの季節で、私が昨年卒業した学校でも開催されました。卒業後も先生に声をかけていただき、今年はお手伝いとして参加しました。
今年のテーマは「魔法」。そのテーマに合わせて、私はシェフと二人で魔法をイメージしたパンのピエスモンテ作りに挑戦しました。星や渦をイメージした装飾や、動きのある立体的な構成を意識しながら、その場でアイデアを出し合い、試行錯誤を重ねていきました。事前に十分な練習時間が取れず、ほぼぶっつけ本番で仕上げていく形になりましたが、その分、臨機応変に工夫する力が試される貴重な経験となりました。
完成した作品は、自分でも驚くほど印象的な仕上がりとなり、大きな達成感を得ることができました。限られた時間の中で、イメージを形にする難しさと楽しさの両方を実感することができたと思います。

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▲制作した作品の完成形

同じ会場では、チョコレート部門の生徒たちも、各々の発想で繊細なピエスモンテを制作していました。会場全体がまるで作品展のような華やかな雰囲気に包まれ、訪れた人たちが足を止めてじっくりと見入っている様子がとても印象的でした。
さらに、このオープンキャンパスでは、生徒たちが作ったケーキやお菓子を実際に購入できるのも魅力のひとつです。毎年多くの人が訪れ、長い行列ができるほどの人気です。


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地元でもよく知られたイベントであり、行列を見ていると多くの人が心待ちにしていたことが伝わってきました。

ベルギーの春は、チョコレートやイースターの華やかさに包まれながら、家族や大切な人とゆったりとした時間を過ごす、あたたかな季節です。この記事を通して、そんなベルギーならではの春の空気を少しでも感じていただけたらうれしいです。

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Writer
若杉あかね
若杉あかね
ベルギー生まれ。 ベルギーの製菓・製パン専門学校で2年間学び、日々パンとお菓子に向き合いながら技術を磨いています。 ベルギーならではの食文化や日常、コンクール準備や現場で感じたリアルな経験、学校での実習などを中心に発信していきます。
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