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2023.03.28

教えて!専門家の皆さん!!「コック帽かキャップか?頭皮にやさしいのはどっち?」

美容師
Reiさん
神戸元町にあるヘアサロン〚lety〛ヘアスタイリスト。スタイリスト歴15年。
お客様の骨格や髪質を見極め、なりたいイメージに合わせたカットやカラーパーマで、「背伸びしすぎない、少し目を引くオシャレなヘアスタイル」を叶えてくれる経験豊富な実力派。
東洋医学や漢方の考えを採り入れた髪への健康アプローチも日々研究中。
運営サイトはこちら

毎日朝から晩まで働いている職人の皆さん。体を酷使する職業なので、体のトラブルを抱えている人も少なくはないと思います。職人さんたちにとって体は大切な資本。日頃からしっかりケアをして、トラブルを未然に防ぎたいものです。そこで、職人の皆さんが抱える様々な身体のトラブルについて専門家にお話を伺おうというのがこの企画です。

パティシエやパン職人のアイコン的存在といえば、chefnoのロゴマークでもある「コック帽」ですが、今回は、コック帽やキャップなどを常にかぶった状態で働くパン職人、パティシエの皆さんが抱える髪や頭皮に関するお悩み、ヘアケアに関するお話です。

異物混入の観点からコック帽やキャップを被ることが多い業界事情

工場などお客様との対面がない職場では、ヘアーネットなどで髪を覆って更に帽子をかぶる。厨房を見せるスタイルの店舗や職人が接客業もこなす職場では、ファッション性も取り入れたキャップをかぶる。レストランやホテルなどであればクラシックなスタイルを重んじたコック帽・・・といった具合に、製菓製パン業界の現場で働く職人の皆さんは、異物混入の観点からも「髪の毛」に関しては特に注意を払って対策をされておられると思います。

コック帽は、異物混入防止のためには必須のアイテムである反面、頭皮トラブルや、薄毛問題、仕事のあと、髪の毛がぺったんこで遊びに出かける時に髪型が限られてしまう等、悩みの種を作っている面もありました。

そこで今回は、髪のプロである美容師さんに、パン職人さんやパティシエさんから寄せられたお悩みを解決してもらうべく、お話を聞いてきました!

 

Q.ずばり!コック帽orキャップ どちらが頭皮や髪にやさしい?

A.材質やサイズ感、かぶり方によるところはありますが、どちらかといえばコック帽

 

Reiさん

頭皮にとって一番のストレスは、「分け目がずっと固定された状態」、「髪をずっと引っ張り続けた状態」です。毛穴の向きが固定された状態が長く続くと、頭皮の立毛筋(毛穴を支える筋肉)が弱ってゆるんでしまうんです。

立毛筋がゆるんだ状態で硬直すると毛穴が広がり、毛が倒れやすくなり、 髪のボリュームダウンはもちろん、頭皮全体がたるむ一因になります。一方、立毛筋が柔軟で伸縮性があると毛穴が引き締まり、1本1本の毛がピンと立ち上がり、根元からふんわりとして、髪にボリュームが出やすくなるとされています。

私の職場でも長髪をずっと一つにきつく結んだ髪型をしていた男性スタッフや、いつもキャップをかぶって前髪をオールバックにしていた男性スタッフは、実際に薄毛が進行してきました。

キャップは、ピタッとしたサイズ感でかぶることが一般的で、頭皮にとってストレスのかかる「固定」の状態が長く続くといえるでしょう。

また、帽子を長時間かぶると、頭皮が蒸れて雑菌が繁殖しやすくなります。雑菌によって頭皮や毛穴に炎症が起こることで、ニキビのようなものができたり、抜け毛が増える可能性があります。また、炎症に伴うかゆみによって、爪を立てて頭皮を掻くことで抜け毛が増える可能性があります。

コック帽の良いところは、トップがオープンになっていることで通気性を確保できている点で、キャップに比べると帽子内にも余裕があると考えられる点から、どちらかというとコック帽に一票です。

対策

Reiさん

キャップであれば、メッシュ素材などの通気性が良いものを選ぶ。コック帽、キャップどちらにも言えるのは、きつくないものを選ぶこと。当たり前のことのようでとても大切です!

キャップでもコック帽でも、1~2時間に1度、10分程度で十分なので脱帽することが理想ですが、難しければ休憩時間や帰宅時は必ず脱ぐといいと思います。更に、毎日洗濯できれば理想ですが、フックに吊るすなどして乾燥させたり、雑菌を減らしてニオイを抑えるスプレーなども活用するといいですね。

また、コック帽やキャップ内で、髪の分け目を右、左、真ん中と毎日少しずつ変えることもおすすめです。まとめ髪の方や、前髪をアップにしている髪型の場合は、ぎゅっときつく結ばず、緩めることを意識してみてください。前髪はポンパドールなど、ピンを使ってふわっと留めるスタイルも「ゆるめる」ための一案です。

仕事終わりにヘアセットがしやすい対策

前髪とトップ(頭頂部)に高さとボリューム感を出し、おでこを見せるポンパドール。女性だけの髪型だと思っていたら、意外にも男性のモヒカンやリーゼントもポンパドールの一種になるのだそう! フランス王ルイ15世の愛妾であったポンパドゥール夫人の名前を冠する髪型

 

Q.髪を触った手は汚いと言われていますが、髪にはどんなものがついていて汚いの?

A.ホコリや花粉、ウイルスなど髪は汚れがつきやすい場所

 

Reiさん

人の頭には毛髪が平均して10万本生えています。髪1本1本の隙間は汚れが入り込みやすく、落ちにくいジャングルのようなもの。また髪の毛は1本の表面積も大きいため、汚れがつきやすいと言えます。更に、10万本の毛を支える毛穴からは、皮脂が分泌され毛髪へとじわじわと広がっているため、皮脂成分に汚れが付着しやすいんです。具体的にどんなものが付着しているのかというと、花粉やホコリ、ウイルスなどの汚れが付いていると言われています。近年の研究結果では、髪に付着したウイルスは、衣類についた場合と同じように、感染力を一定時間保つ可能性があるそうです。

対策

Reiさん

髪についた汚れは、シャンプーを使って洗髪することで落とすことができるので、シャンプーは毎日するこを推奨します。外出時はまとめ髪にしたり、帽子をかぶるなどもホコリの付着を防止するのに効果的。ということで、パティシエさんやパン職人さんが仕事中に帽子を被るのはとても理にかなっているといえますね。

近年では、髪に汚れをつきにくくする技術を駆使したシャンプーやコンディショナーといった製品も売られているのでチェックしてみるのもいいですね!

 

Q.異物混入になりうる髪の毛ですが、毛が抜けやすい条件などはありますか?

A.抜け毛の原因はなんといっても皮脂。毎日欠かさず洗髪をしましょう

Reiさん

どれだけ汗の量が少なくても、毎日欠かさず洗髪しましょう。頭皮からは、汗だけではなく皮脂も分泌されます。皮脂は、増えすぎると雑菌の異常繁殖につながるため、当然、抜け毛の原因にもなります。皮脂は、毎日しっかり洗い流す必要があるのです。

また、夜に洗髪をせずに寝てしまうと、日中に分泌された皮脂汚れ、スタイリング剤などが毛穴に詰まりやすくなり、髪の毛の成長を邪魔しヘアサイクルの乱れを引き起こす原因となるので、一日の終わりに洗髪することもポイントです!

散髪をする男性
 

Q.どんなシャンプーを選べばいいのでしょう?

A.できるだけ洗浄力が優しいものを選んで
 

Reiさん

シャンプーって、役目が最初から最後まで「洗剤」なんです。潤いとか香りとか、各メーカーが様々な効能を謳った製品を出していますが、結局シャンプーの役目は汚れを落とすこと。

例えば、布を100回洗剤で洗濯すれば生地はその回数分傷みますよね。それと同じで毎日シャンプーすることは必要ですが、洗髪することは、髪にとって引き算の作業でしかないと考えることができます。本来、人間は汗を流して、自力で汚れを外部に出す仕組みが体に備わっている生き物なので、現代のシャンプーとは、その手助けという位置づけぐらいで考えておくと良いと思います。

ですので、シャンプー選びのポイントは、汚れを落とし頭皮の清潔を保つことは大切にしながらも、出来るだけ洗浄力が優しいものを選ぶことです。

シャンプーの選び方

Reiさん

・洗浄力がやさしめのものを選ぶ(アミノ酸系がやさしい)
 
・よく汗をかく人は汗が汚れを流してくれているので、お湯洗いだけでもいいぐらい。38℃くらいのぬるま湯で丁寧に洗うことで汚れの7~8割を落とすことができます!
(ただし、汗はアルカリ性。そのアルカリ性の汗が髪に長時間留まる状態は髪を傷めるので早めの洗髪を)
 
・洗髪してすぐの髪は、まだ頭皮から皮脂が出ていないノーガード状態!その状態で外出すれば、紫外線などの刺激で髪が傷みやすいので、朝シャンはできれば避けましょう。

 

Q.毛髪落下防止(異物混入防止)の観点で、使用すると効果が高いスタイリング剤は?

A.ヘアバームがベストです

Reiさん

ヘアバームとは、ミツロウ(蜜蜂の巣の成分から生成したロウ)などの油性成分を原料にした半固形状のスタイリング剤。 以前はシアバターとも呼ばれていましたが、最近はバームと総称されるようになっています。子供にも使える、リップにも使える、スタイリング後の手に伸ばしてハンドクリーム代わりにもなる!体や髪に良いものと認知され、近年美容業界でもバームでの仕上げが主流になりました。
 
バームには、硬さの異なるタイプが色々とあり、ドラッグストアでも様々な種類が売られているので、自分にあったバームを探してみてください。

硬めのテクスチャーのバームはホールド力が高く、柔らかいテクスチャーのものは、伸びが良く使いやすい。

少量つけると軽くまとまり、多めに付けるとかなりウエットなまとめ髪ができます。バームは凝縮された油なので、従来のワックスやジェルといったスタイリング剤に比べ揮発する事がほとんどなく、長時間ホールド力を保ち、髪を摩擦から守ったり、外気や紫外線などの刺激からも守ってくれます。

また、揮発せず髪に浸透するので、髪が広がる、まとまらないといったお悩みの解決にも繋がりますよ!

現代人の頭皮は乾燥しているといわれています。直接肌にふれても安心な優しい原料から作られているヘアバームを使うことで、頭皮を保湿し、健康な環境を作ってあげましょう。また、バームは、カバンにひとつ入れておけば、ヘア、ハンド、爪、リップにと、多様に使える点も優れています!

letyさんで使われているヘアバームたち

letyさんで使われているヘアバームたち。様々なテクスチャー(さわり心地、つけ心地)のものがあるので、自分のスタイルに合ったものを探してアレンジを楽しんでください

Q.薄毛が気になりだしたときに、どんな対策をすればいいですか?

A.血の流れを意識して「頭を冷やして」みましょう
 

Reiさん

薄毛は、男性ホルモンと、「5aリタクターゼ」という酵素が結びついた時に起こるといわれています。

この2つが出会うのを阻止してくれる頭皮用化粧水や、漢方入りシャンプーなどといった製品も実際に存在します・・・・が、今回はそういった製品を使わずにできる簡単な方法をご紹介します。
 
それは、「頭を冷やす」ことです!
現代人の頭は熱いんです。パソコン使ったり、絶えず携帯を見ていたりと、常時忙しく頭を回転させている・・・まるで、携帯の充電のし過ぎでバッテリーが熱くなっているようなオーバーヒート状態!

そうなると、他の所が冷えて血流が悪くなることに繋がっていくんです。四字熟語でもあるように「頭寒足熱」の状態に近づけることが、体に良いとされ、それが頭皮、ひいては髪にとってもよい状態に繋がっていくんです。

具体的に「頭を冷やす」とはどんな方法でできるのか?というと、首の太い血管を冷やすといいんです。保冷剤を直接当て、冷たい水で濡らしたタオルを首に巻く、冷たいシャワーをかけるなどで構いません。
 
耳の後ろ、髪と首の境界あたりに太い血管があります。この先に毛細血管に広がっていく=ここが血流に関わる大切なところ。下を向く作業が多いパティシエさんやパン職人さん、首が長い人なんかも、ここで血が留まってしまいがち。毛細血管は一度活動が弱くなっても、また血流が良くなると復活するものなので、この血管を冷やすことで血流を戻してあげるといいですね。

耳の後ろ、この辺りにあるのが太い血管「頸動脈(けいどうみゃく)

 

Q.仕事帰りは、帽子で髪がぺったんこ!何か対策やアレンジはない?

A.サイドの髪をネジっておく、分け目をあえて不自然にしておくなど、仕事前の仕込みで対策を!
 

Reiさん

前髪の長い女性であれば、帽子の中に髪を入れる前に両サイドの髪をねじっておくと、仕事終わりに髪をほどいた時に、ほどよいボリュームが出てセットしやすくなると思います。

ヘアーネットに髪を全て入れてしまう工場勤務の方にもこのアレンジはおすすめです!
 
髪の分け目をセンター分けでギザギザにしておく、1:9という極端な横わけにしておくなど、分け目をあえて不自然にしておき、仕事後にほぐしてあげて、ヘアバームなどでアレンジをすればぺったんこは解消でき、動きのある髪型を楽しむことができます。こちらの予防策は、男性にも使って貰えると思うので是非試してみてください!

仕事終わりにヘアセットがしやすい対策

こんな感じでサイドの髪をネジネジ~

仕事終わりにヘアセットがしやすい対策

後ろの髪は、こんな風に2ブロックに分けておくと、仕事終わりは、上のブロックの部分だけをほどいて髪を下ろすと、ネジネジした部分がカチューシャのような役割になるアレンジヘアにも!


 

取材を終えて

「髪は血の余りもの(血余)」
血余(けつよ)とは、読んで字のごとく「血の余りもの」。東洋医学や漢方の世界では、髪や爪のことを「血余」、つまり血が全身に行き渡って余ったものだという考え方をするのだそう。血に余裕がなく頭皮にまで栄養分が届かなければ、抜け毛や白髪、髪が細くなったり、薄毛などにもつながる・・・ということだったのか!

コック帽かキャップか・・・というところからスタートした今回の取材でしたが、健康で美しい髪のためには、やはり、体の中からキレイにすることが大切だという根本に立ち返ることとなりました。

血の巡りを良くするヒントとしては、過去記事 「温活のすすめ」でも温活士の先生に詳しくお話をお伺いしていますので、こちらも参考にしてみてください。

 

●取材協力

lety(レティ)
住所:兵庫県神戸市中央区元町通2-5-5 華僑ビル2F
TEL:078-335-5702
営業時間:平日11:00~21:00 土日祝 10:00~20:00
定休日:月曜日
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chefno編集部
エディター兼ライター R
chefno編集部
エディター兼ライター R
ワインショップ、ワインインポーターでワイン漬けの日々を過ごして20数年。私なりの視点でパンやお菓子とワインを結びたい。基本的に白ワインが大好きだが、実が大きく皮が薄いことで優しい軽やかな赤ワインを生むブドウ品種‘’アラモン‘’が忘れられない。
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