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2022.07.07

フランスからつづる!パティシエ通信 by木村 翔 Vol.11『お菓子製造で使えるヴィーガン商品を紹介!』

こんにちは。

前回は、フランスでのヴィーガン事情についてご紹介しましたが、今回はパリにあるチェーン系有機専門店「ナチュラリア」で販売されているヴィーガン商品についてご紹介します。

▲専門店の店内。ヴィーガン商品が豊富にそろっています

今回訪れた店だけでなく、普通のスーパーマーケットでもオーガニックやヴィーガン商品を購入することができます。

ヴィーガン料理は「肉や魚を使用しないから、美味しくないんでしょ?」というイメージをもっている方もまだまだフランスでは多いため、最近は飲食店のメニュー表でヴィーガンと表記せず、「100% végétal 」と表記しているのをよく見かけます。100%植物性 =ヴィーガンですので、表記は間違っていない(笑)

さて、今回ご紹介するようなヴィーガン専門店ではどんな商品が販売されているの?と思いますよね。私が、色々なヴィーガン専門店に行って感じたのが、ほとんどのお店で、お肉を使用していないハンバーグ風の商品が売られているということです。

▲ユダヤ料理の『ファラフェル』をベースにしたハンバーグ型の商品

ヴィーガンハンバーグの多くは、ひよこ豆や大豆を使用しています。実際に食べてみるとハーブやスパイスが効いていて、本物のお肉を食べているような歯応えと満足感があります。

自分で一からヴィーガンハンバーグを作ることも可能ですが、専門店やスーパーで気軽に購入でき、温めるだけで食べられるというのはありがたいですね。少し味付けがもの足りない人は、醤油を加えたソースや、ベジタリアン用に作られたトンカツソースなどを使うのがおすすめです。

ここからは、実際にお菓子作りで使えるヴィーガン商品をご紹介します。

まずは、牛乳の代わりになる商品をご紹介します。
写真の通り、アーモンドミルク、豆乳、ココナッツミルク、オーツミルクなどなど、品揃えが豊富ですね。

▲フランスでは朝にカフェオレを飲む人が多いので、牛乳の代わりになるヴィーガン商品があるのはありがたいですね

これらの商品は、お菓子づくりで牛乳や生クリームの代わりとして使用されています。そしてバターの代わりにはマーガリンを使い、チョコレートと合わせてガナッシュを作ることも可能です!

近々うちの店でもガナッシュベースのボンボンショコラでヴィーガンに対応したチョコレートの販売を考えています。

▲試作中のヴィーガンボンボンショコラ

そもそもプラリネのボンボンショコラでダークチョコレートを使用していれば、基本的に乳製品は入っていないので、ベジタリアンやヴィーガンの方でも食べることができますね。

そして、卵の代わりになる商品もご紹介します。次の写真でご紹介する商品は、ユンゴというメーカーの100%植物性代替卵になります。

▲この商品は、250mlで5.50ユーロ。値段は普通の卵に比べたら高いですね

黄色のボトルは、植物性卵黄です。ボトルを見ると、賞味期限は45日間。開封後3日以内に消費することが記載されていました。エンドウ豆由来のタンパク質が原料になっており、卵の食感を出すために寒天が使用されています。店員さんに「卵黄の色はどうやって出しているの?」と聞いてみると、なんとニンジンを濃縮したものでこの色合いを出しているそうです。容量は、13個の卵黄とほぼ同量です。

白色のボトルは、植物性卵白です。ボトルを見ると、賞味期限は4か月。開封後7日以内で以内に消費することが記載されていました。ヨーロッパ原産のさまざまな野菜を使用しており、卵の食感を出すためにドレッシングやソースのとろみ付けに使われる増粘剤の一つであるキサンタンガムが使用されています。このキサンタンガムは、トウモロコシなどの澱粉を発酵させて作られているので、植物由来ですね。

実際にこの商品を購入して、メレンゲを試作してみました。


卵のコクがなく、普通のメレンゲに比べて甘さを強く感じてしまいますが、卵なしでメレンゲがつくれるってすごい!!

ヴィーガンのお菓子を製造する場合、材料費は通常の材料と比べると感覚的に1.5倍くらいは高くなりますので、お菓子の販売価格もそれに合わせた値段設定になると思います。ですが、フランスでは、ヴィーガンのお客様も店にいらっしゃるので、そのお客様に販売できる商品を取り揃えておく必要があり、現在ヴィーガン商品を試行錯誤しながら試作しています。いつか普通のケーキに劣らないヴィーガンケーキを作れないかと考えています!

前回の記事に引き続き、フランスのヴィーガン事情についてご紹介してきました。私の感想ですが、フランスでは宗教の違いや環境問題は日本よりも重要視されており、お菓子製造においても身近に感じます。その他の問題もきっとどんどん増えて来るとは思いますが、郷に入っては郷に従え。色々な考えにできるだけ向きあって、より沢山の方に寄り添っていけるお菓子作りを続けて行きたいと思います。

 

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Writer
木村 翔
木村 翔
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青森県三沢市出身。
日本で10年修行後、渡仏。フランスに移住して5年。
現在は、パリにある「LES TROIS CHOCOLATS PARIS」のシェフパティシエとして働いています。
フランスでこの職業に誇りを持ち、異国での“パティシエ人生”を楽しんでいます。
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