話題が絶えない焼き菓子とケーキの店「feuquiage(フキアージュ)」。調布という地で、11月8日にオープン後は、その人気もあって話題も沸騰していますが、今回の記事の主人公は畠山シェフ。シェフがお菓子の世界へ入ったきっかけはもちろん、これまでの歩みと「働き方」「若いスタッフへの接し方」をテーマに、畠山シェフに色々なことを質問させていただきました。
目次
子どものころから好きだったお菓子づくり。“菓子職人以外の道はなかった”
Q.畠山シェフは、どのようにして「食」の世界へ入られたのでしょうか?
畠山シェフ「実は、子どもの時からお菓子はもちろんですが、料理を作るのも好きでした。うちは兄弟が多かったということもあり、何かを僕が作るのが当たり前の環境でした。とくにクッキーを作るのが好きでしたね。だから、将来の道は必然的にお菓子を作る仕事以外は、思いつかなかったんです。
高校二年生の時に、インターンでお菓子の世界に入りました。実家が飲食店だったこともあり、厨房を借りて夜中に焼き菓子を作っていたんです。日中はお店が営業していたので、何かを作れるのは夜だけ。夜中だからこそ作れるのが焼き菓子だったので、焼き菓子がそこで得意になりましたね。」
「無駄がなく、システマティックでありながら最高に美味しい。その大切さをエコールクリオロで学んだ」
Q.あの有名なエコールクリオロでは、どんな経験をされ、畠山シェフにとって、どんないい影響がありましたか?
畠山シェフ「最初のお店では、洋菓子は基本すべて手作業で作っていました。そして僕も、洋菓子こそ手作業で作ることが大切だと思っていましたが、クリオロで学んだことは全く違うものでした。作業がとてもシステマティックであり、無駄がなく高品質のものをたくさん、そして手早く作っていくスタイルは大きな発見でした。ある程度機械の力を借りながら、同じお菓子でもクオリティは保ちながら作業性を向上させて労働時間を短縮させる。これからの日本のパティスリーの目指すべき姿を教えてもらいました。」
ジャカルタで感じた、シェフとして、人としてのスタッフへの接し方とその大切さ
Q.エコールクリオロの後は、ジャカルタの高級パティスリーにて、3年半エグゼクティブシェフをつとめたかと思いますが、どういった経緯があったのでしょうか? また日本から遠く離れたインドネシアという地で、どんな経験をされたのでしょうか?
畠山シェフ「お店は政府要人や芸能人、大手企業が多く利用するお店でした。普段日本のパティスリーでは見ないような大きいケーキの注文や華やかなケーキを作ることが多かったですね。またスタッフも20名を超えていたので売上も管理していたので、マネジメント力もついたと思います。
またジャカルタでは、技術的なことではなく、人の上に立つものとして、シェフとして大切なことを学びました。人との接し方、従業員の管理の仕方が向こうの方々はとてもおおらかでした。日本のパティスリーって、現場はすごくせかせかしていて、シェフが声を荒らげることも多いと思います。僕も少なからずそういった経験をしてきているので、そこが大きなカルチャーショックでした。
“人間性を重視する”
なぜミスしたか、それについてスタッフに怒って伝えなくても、冷静に原因をつたえればいいだけ。だから僕はこの調布のお店でもスタッフが働きやすい環境で、そして人数もこの規模にしては多く採用して、機材も道具も結構そろえて、出会うべくして出会ったスタッフたちが気持ちよく、負担なく働ける場を作りました。
そして今まで自分が学んできたこと、身に着けた技術を次の世代にバトンを渡すことも大事だと考えています。ありがたいことにフキアージュには独立したい、技術を身に付けたい、勉強したいというスタッフがアルバイト含め何人も集まってくれました。
僕自身今までたくさんのシェフ、先輩、同僚に教わりながら技術を学んできました。ですので、今度は僕から学んでもらえるようなことがあればこんなに嬉しいことはありません。
プロとして仕事をしていくので、ある一定のスキルやスピードや結果は必要です。でも必要以上の厳しさやプレッシャーがあると、畏縮してうまくいかないことも多々出てくるのではないかと思っています。」
特別な空間とお菓子を通じて、人を幸せに
Q.お店の空間に、シェフのどんな想いが込められているのでしょうか?
畠山シェフ「やはり、お店へ足を運んでもらえた時に、“来てよかった”と思えるような、そんな空間づくりを大事にしています。今では通販が洋菓子界で主流になる中で、わざわざお店へ来てもらうことって、簡単ではない。僕はケーキは日常的なものではなく、“特別なもの”だと思っています。だからこそ、そんな特別なお菓子を、この空間で買って満足してもらえたら嬉しいですね。実は内装も、いろいろ悩んで、もっと安くできたんですが、そこはこだわりました。やはりいいものを作りたかったので。」
趣味の写真を楽しむ。畠山シェフの“オンとオフ”
Q.ところで、シェフは写真が趣味と伺いました! シェフにとって写真を撮っているときはどんな時なのでしょうか?
畠山シェフ「はは(笑)そうですね、“きれいな物を残したい”という気持ちがあって、クリオロにいたときにシェフの奥さんの愛さんがお菓子の写真を本当にキレイに撮られていて。その姿に憧れて僕も本格的にお菓子の写真を撮り始めました。今は自分のお菓子はもちろん、先輩のプロフィールを撮ったりしていて、いつもお菓子を作っている時間とは全く違い、すごく楽しく有意義な時間なんです。“お、いいねいいね”と一人でしゃべっちゃっていますね(笑)」
●About Shop
feuquiage(フキアージュ)
調布市小島町1-2-5 アジャンタ調布2 1F
営業時間:11:00~19:00(売り切れ次第終了)
定休日:月、火、水