chefnoの「パティシエ通信vol.2」で源波慎一郎シェフが紹介していたガレット・デ・ロワ・リヨネーズとガレット・デ・ロワ・オランデーズ。日本のパティスリーではまずお目にかかることはなさそうなこの2つのガレット・デ・ロワですが、果たしてどんな味わいなのか?気になって気になって仕方がないchefno編集部メンバーは、フランス語のサイトでレシピを探し、自分たちで作ってみることにしました。ぶっつけ本番のガレットづくりの様子をご紹介します。
目次
ガレット・デ・ロワ・リヨネーズ

まずは「ガレット・デ・ロワ・リヨネーズ(以下、リヨネーズ)」から。
リヨネーズの特徴は、なんといってもプラリネロゼを混ぜ込んだクレーム・フランジパーヌと、通常のガレット・デ・ロワよりもかなり薄いこと。レシピはリヨネーズの代名詞的な名店「Sève(セーヴ)」のレシピをベースに作りました。
意外と折込数の少ない生地
まずは生地づくりですが、レシピに書かれていた配合通りにすると生地はかなり固く、延ばすのがかなり難しそうだったのですこし水を足して柔らかくすることにしました。これはフランスと日本での粉の違いや、水(硬水と軟水)の違いによるものかもしれません。
デトランプを作ったのち、折込数は、レシピでは3つ折り4回となっていましたが、パイ生地としてはあまりにも少なく、層がしっかり浮くか不安だったのと、オランデーズの生地としても使いたかったので、今回は三つ折り5回としました。
この折込み回数については、「セーヴ」のガレットがとても薄いことと、日本に比べてシーズンには製造数がはるかに多いフランスという点から、折込回数が少ないほど休ませる回数も少なくて済む(時間がかからない)この折込回数になっているのかもしれません。
プラリネロゼのクレーム・フランジパーヌ

▲プラリネロゼのコンカッセ
続いてプラリネロゼのアーモンドクリームの仕込みです。リヨネーズの赤い色を出すのに欠かせないプラリネロゼコンカッセをさらに砕き、アーモンドクリームと混ぜ合わせます。ラム酒を加えるといい香りが立ち上ります。

そこにクレームパティシールを加えてクレーム・フランジパーヌの完成です。写真ではそこまで赤くありませんが、冷蔵庫で休ませた翌日は、プラリネロゼの砂糖が溶けだし、より赤くなっていました。

クレーム・フランジパーヌを絞っていきます。生地の端から1.5㎝ほど内側まで絞ります。あまりたくさん絞ると、焼成途中に中からあふれ出てしまいますので注意が必要です。もう一枚の生地を上からかぶせて閉じ、シクテをして生地同士をしっかりと閉じていきます。
この時に上下の生地の角度を90°ずらしておかないと、生地の縮む力が同方向になり、楕円形に焼き上がってしまうので注意してください。

▲シクテで上下の生地をしっかりと閉じる

▲フォークでしっかりとピケ
通常のガレット・デ・ロワのレシピと比較して少し違うのがピケの工程。リヨネーズの場合、写真のようにフォークでたくさんピケを打ちます。このあたりも空気の抜けを良くして、仕上がりをよりフラットにするためのポイントなのかもしれません。

▲出来上がりがこちら
ドリュールを塗ってレイエを入れたらいよいよ焼成です。じつは一回目はフィリングの量が多かったのか、焼成中にフィリングが漏れ出てきてしまい失敗。二回目はフィリングの量を減らし、シクテも気を付けてしっかりと閉じました。
途中でオーブンから出して艶出しのためのマロンシロップを塗ります。通常のガレット・デ・ロワでは粉糖をまぶすので、ここも少し違いますね。
仕上がりはまずまず。筆者は実際に「セーヴ」のリヨネーズを食べたことがあるのですが、本家のように薄く、まっ平らな仕上がりにはなりませんでしたが、合格点の出来上がりとなりました。通常のガレット・デ・ロワでも高さを均一に保つために天板を置いて浮き上がりすぎないように調整するのですが、「セーヴ」のレシピにはこのあたりの記述がありませんでした。ただあそこまで薄く均一にフラットにするには、なにかポイントがあるのでしょうが、そこはやはり自身のブランドを守るために秘密になっているのでしょう。
味のほうはというと、プラリネロゼのアーモンドクリームの香りと甘みが素晴らしく、バター香るフィユタージュと相まって、とても美味しかったです。コンカッセのアーモンド部分もしっかりと水分が移行していて、アーモンドの食感はさほど感じず、クリームとちょうどよく一体になっていました。
ガレット・デ・ロワ・オランデーズ

つづいて「ガレット・デ・ロワ・オランデーズ(以下、オランデーズ)」。このガレット、メインの材料は普通のクレーム・フランジパーヌを使ったガレット・デ・ロワと何ら変わりはないのですが、違いはその上にマカロナード(材料は粉糖、アーモンドパウダー、卵白とマカロン生地と同じです)を乗せて焼きあげるところ。上にカリカリ、サクサクの層ができることで食感がプラスされ、美味しくなります。さらにオランデーズの良いところは、上にマカロナードを乗せているので、フィユタージュやレイヤージュの美しさを気にしなくていいところ。失敗の少ないお菓子といえます。

生地はさきほどのリヨネーズと同じものを使用。クレーム・フランジパーヌを包み、シクテします。ここまでは普通のガレット・デ・ロワと同じです。
ここにマカロン生地を上に伸ばして、粉糖を振ります。マカロン生地に粉糖がしみ込むのを待って再び振るのではなく、多めの粉糖を思い切りよくかけて焼いたほうが、焼き上がりでも粉糖が表面にしっかりと残ってきれいな仕上がりになりました。

▲粉糖を振ってから、切り分けるサイズに合わせて切り目を入れてからオーブンへ
マカロナードとフィユタージュの食感が楽しい

焼き上がりは大成功。素朴な見た目が温かみのあるガレットです。マカロナードが上にかかっているため、中まで火が通っているかの見極めも難しいので、生地を薄く(1mm)するなどのポイントもレシピに記載されていました。

▲カットしてみるとこんな感じ
レシピには「温かいうちに食べるのがおすすめ」と書かれていたので粗熱が取れてから早速実食。上のマカロナードのカリっ、サクっとした食感と、バターを使ったアーモンドクリームの素朴な風味と甘みが口いっぱいに広がって、幸せな気持ちになります。
まとめ
源波シェフの記事に触発されて作ってみた2つのガレット・デ・ロワ。リヨネーズは断面のピンクも美しくインパクトのあるビジュアルなので通常のガレット・デ・ロワのバリエーションとして最適だと思いますし、オランデーズは上にマカロナードをかぶせることで生地の層やレイヤージュなど、仕上がりの美しさに注意を払わなくてもすむので、レイエが苦手な方にも手軽に作れますし、2番生地の使い道としてよいのではないでしょうか。
どちらもオーソドックスなガレット・デ・ロワとは一風変わった、いずれもとても美味しいお菓子ですので、ぜひみなさんも一度トライしてみてはいかがでしょうか?
ベーカリーパートナー編集部