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2022.10.07

フランスからつづる!パティシエ通信 by木村 翔 Vol.22『Les trois chocolatsの商品ラインナップ事情』

今回はパリのパティスリーの商品ラインナップ事情についてお話しいたします。

日本では、二・三段のショーケースにびっちり綺麗なケーキが何種類も並んでいるのをよく見かけますが、私のお店Les trois chocolats では、ショーケースは写真のように一段で、通年7~9種類のケーキを販売しています。

私はシェフになりたての頃、休みになるとパリ中のパティスリー巡りに明け暮れていました。当時はお菓子だけに意識を集中していて、お店のディスプレイやショーケースなんて見ていなかったように思います。

パティスリー巡りを始めて一年程経ったころでしょうか。「あれ!?ケーキの種類が少ない??焼き菓子も少ない?!」と気付いたのです。そういえば、日本であんなに大人気で、どこのお店にも必ずあるフィナンシェも見たことない!笑(あったとしてもフィナンシェの形ではない!笑)

うちのお店では頑張れば11種類のケーキを並べることができます。シェフになりたての頃は、数少ない常連さんに喜んでもらおうと毎日違うケーキをショーケースにぎっしりとに並べていました。しかし、種類が多ければ多いほど、選ばれないケーキがでてくるんです。

そこで思いました。「どうせ売れ残るのであれば、種類を減らしてしまえ!!」

ということで、現在Les trois chocolats では、季節で種類を変えたり、イベント時期しか買えないケーキを展開したり、常連のお客様にも楽しんでいただけるよう工夫しながら、7~9種類のケーキを販売する形が定着してきました。

種類を減らしたことで、労働時間と売れ残りのロスも減りました。そして不思議なことに、売り上げは上がったんです!!(笑)ありがたいことに、基本的に夕方には完売してします。

ただ当たり前ですが、ショーケースにケーキがぽつんと1~2個しか並んでいないと、かなり寂しい印象になってしまいます…。商品が少なくなった時は、木のトレイの上にケーキを並べ、ショーケース全体ではなく、木のトレイに注目がいくようにするなど、寂しい印象を与えないように工夫しています。

夏場や大雨で、そもそも売り上げが悪いだろうと予測される日は意地をはらず、生産数を減らし、最初から木のトレイ上に並べることもあります。

▲ケーキの数が段々と少なくなり始めたショーケース…

▲木のトレイを活用し、無駄な余白を無くし、寂しくない印象に

こういった販売方法を日本のパティスリーで取り入れるのは勇気がいるかもしれませんが、ご参考になれば幸いです!

 

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Writer
木村 翔
木村 翔
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青森県三沢市出身。
日本で10年修行後、渡仏。フランスに移住して5年。
現在は、パリにある「LES TROIS CHOCOLATS PARIS」のシェフパティシエとして働いています。
フランスでこの職業に誇りを持ち、異国での“パティシエ人生”を楽しんでいます。
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