今回はパリのパティスリーの商品ラインナップ事情についてお話しいたします。
日本では、二・三段のショーケースにびっちり綺麗なケーキが何種類も並んでいるのをよく見かけますが、私のお店Les trois chocolats では、ショーケースは写真のように一段で、通年7~9種類のケーキを販売しています。
私はシェフになりたての頃、休みになるとパリ中のパティスリー巡りに明け暮れていました。当時はお菓子だけに意識を集中していて、お店のディスプレイやショーケースなんて見ていなかったように思います。
パティスリー巡りを始めて一年程経ったころでしょうか。「あれ!?ケーキの種類が少ない??焼き菓子も少ない?!」と気付いたのです。そういえば、日本であんなに大人気で、どこのお店にも必ずあるフィナンシェも見たことない!笑(あったとしてもフィナンシェの形ではない!笑)
うちのお店では頑張れば11種類のケーキを並べることができます。シェフになりたての頃は、数少ない常連さんに喜んでもらおうと毎日違うケーキをショーケースにぎっしりとに並べていました。しかし、種類が多ければ多いほど、選ばれないケーキがでてくるんです。
そこで思いました。「どうせ売れ残るのであれば、種類を減らしてしまえ!!」
ということで、現在Les trois chocolats では、季節で種類を変えたり、イベント時期しか買えないケーキを展開したり、常連のお客様にも楽しんでいただけるよう工夫しながら、7~9種類のケーキを販売する形が定着してきました。
種類を減らしたことで、労働時間と売れ残りのロスも減りました。そして不思議なことに、売り上げは上がったんです!!(笑)ありがたいことに、基本的に夕方には完売してします。
ただ当たり前ですが、ショーケースにケーキがぽつんと1~2個しか並んでいないと、かなり寂しい印象になってしまいます…。商品が少なくなった時は、木のトレイの上にケーキを並べ、ショーケース全体ではなく、木のトレイに注目がいくようにするなど、寂しい印象を与えないように工夫しています。
夏場や大雨で、そもそも売り上げが悪いだろうと予測される日は意地をはらず、生産数を減らし、最初から木のトレイ上に並べることもあります。
こういった販売方法を日本のパティスリーで取り入れるのは勇気がいるかもしれませんが、ご参考になれば幸いです!
関連リンク