こんにちは。
今回は、私が普段新作を考える際に行っている試作のことについて前編・後編にわたりご紹介します。
うちの店では、季節によってケーキのラインナップを変えているので、秋になればパリブレスト、モンブラン、バニラやチョコレート系の少し重めのケーキが並びます。
季節の変わり目が近づいてくると、次のシーズンの新作に向けて試作が始まります。私は、新作を考えて試作をしている時は「早く完成させてお客さんに食べてもらいたい」という気持ちが先行し、どうしても味の構成に集中してしまいます。そうすると、味は良いのですが見た目が納得できない時がよくあるんです。試作をして味に納得ができれば、店に出してお客さんの反応をうかがい、そこから少しずつ見た目もアップデートしています。
もちろん見た目はケーキを構成するうえで大事な要素の一つですが、3年前くらいからでしょうか、私の店では色粉や金箔を使わなくなり、また店のロゴが入ったエチケットはなるべくつけないようにしています。その理由は、色粉や金箔はまったく味に影響しないからです。もちろん、必要がないとは言いませんが、味に影響しないのにコストが高くなるって無駄だなと思ってしまうからです。
エチケットに関しては、少ない人数でお菓子の製造をしていますので、エチケットをチョコレートで作るのも手間ですし、紙のエチケットはそもそも食べられないですからね。世界中のお客様やパティシエが、私のケーキをSNSや店で見て「これは翔のケーキだね!」と分かれば、エチケットをつける必要もないと、個人的に思っています!
がしかし、エチケットなしでオリジナリティがある見た目のケーキを作るのは、実はとても難しくて…。ですので、味を決めてから、すごく時間をかけて徐々に見た目を変えていくのが私のスタイルです。お客さんからは「あれ?またケーキのデザインを変えたの?」なんて言われることもしばしば(笑)
そして今はSNSの時代!ケーキを買ってくださったお客さんが、色々な方向から写真を撮ってSNSでアップしてくださっていますが、エチケットがないため、ケーキの正面がどちらかが分からないようです(泣)。パティシエのみなさまなら分かっていただけると思いますが「このケーキを撮るなら、その方向じゃないんだよな~」って思うこともあります(笑)SNSでアップしてくださるのは嬉しいことなんですけどね。
その画像をたくさん見て「ふむふむ、エチケットを外すのであれば、どの方向や角度から写真を撮られても綺麗な見た目でないとだめなのか」などと考えさせられています。ある意味、SNSのおかげで、自分のケーキの画像を客観的に確認できるいい機会になっていると思います。
そこからは、試作をしたときは必ず写真を撮り、客観的に見るようにしています。写真を撮る方向や角度を何回変えても綺麗に撮れないときは、たいていがダサい見た目なのでボツにします!だからと言って、味に影響がある素材や無駄な飾りは追加したくないので、食べられるもので味のバランスが崩れないような構成を考えて試作する日々が続きます。
とこんな感じで私はいつも試作をしています。
後編では、パリブレストの試作のことについてお話します!